五十話目 マンドレイク①
3月12日の更新です。
昨日はお休みして申し訳ありませんでした。
本日も宜しくお願い致します!
「どうしたらいいのかな~?」
僕がうんうん唸っているのは、クレアさんの元ばあやさん、リーマさんのお屋敷のお庭。
馬鹿デカイマンドレイクを見上げながら途方に暮れた僕は、どうした物かと、隣に居る咲良と共に悩んでいます。
「駄目元で、俺が話しをしてみましょうか?」
『なぁ』
「えっ!?咲良そんな事出来るの?」
『お~い』
「そりゃあ、俺だって花の精霊の端くれ何で、植物達と話すくらい出来ますよ。ただ、マンドレイクとは話しをした事が無いので何とも…」
『なぁってばぁ~』
「そっか、でもやってみてもらっても良いかな?……って、さっきから誰か話しかけて来てない?何か声がすんだけど?」
『おっ?やっと気がつかはった?ここや、こぉこ~』
「「どこ?」」
謎の声に僕と咲良の声がハモる。
何だか頭に響くような男の人っぽい声だったけど、位置的に下の方…って僕が下を向いた時だった。
『おっ!兄さん、こっちでっせ?』
ちょっとだけ土から顔を出していたマンドレイクと、目があった。
「ひょっ!?」
「マスター、下がって!」
あんまりビックリし過ぎて変な声が出た。
と、そこへ、僕とマンドレイクの間に入るように、サッと咲良が体を差し込んでくる。
おぉ、今の本当に従者っぽかった!
「フフ」
また僕の心を勝手に読んだのか、僕を庇う咲良から笑みがこぼれる。
あ~、そこで笑わなきゃ完璧だったのになぁ。
「うっ…」
その心の声を聞いて心なしか凹んでしまった咲良に、
『何?ぼぉく、何にもせぇへんよぉ?ぼぉくの声が聞こえるお人何て、はじめてやしぃ~』
と目の前のマンドレイクは、土から目だけをだした状態で、拗ねた様な声を出した。
間延びした様な声が、ちょっと可愛い。
けど、何で関西弁っぽいんだろう?そう言えばうちの実里さんは何か東北弁っぽい訛りがあるし、一体どう言う法則があんの!?
「いや、念の為だ。気にするな。俺と違ってマスターはヒューマン種でな?君達の声にあまり耐性が無いんだ」
『ほぉなん?ぼぉく、人と話すの初めてやから知らんかったわぁ~!お兄さん堪忍したってぇ~?』
おっと、僕がボンヤリしている間に話が進んでたや。
さっきまで拗ねた様な声を出していたマンドレイク君は、僕を見ながら申し訳なさそうに葉っぱを揺らした。
「いっ、いや、大丈夫大丈夫。僕もマンドレイク君と話したのは初めてだったから、ビックリしちゃってゴメンね?」
『何や優しそうなお人でえかったわぁ~?何やらぁ、ぼぉくを切り倒すみたいな物騒なはなしぃが聞こえたさかい、おどろいてぇ~』
マンドレイク君は、今度はちょっと怯える様に葉っぱを揺らした。
あわわ、まさかマンドレイクが人の言葉を理解するなんて思わなかったから、普通に喋っちゃってたな。
そりゃあ自分が切られそうだって知ったら慌てるよね?
「ごっ、ゴメンね?実は此処、僕の知り合いのお家なんだ。あんまり君が立派だったから、このお家の人が怖くなっちゃったんだって」
『ほうなん?ぼくぅ、何にもせぇへんよぉ?』
よいしょ、と言いながら、マンドレイク君は地面から少し這い出してくる。
口と一緒に、体のサイズに似合わない小さな…とは言ってもデカイんだけど、体の胴体に比べれば小さな手が地面から出てきて、彼?の顔がよく見える様になった。
普通のマンドレイクは3つの穴が開いているみたいな、ちょっとグロい顔をしているんだけど、彼?はなんか、ゆるキャラみたいなつぶらなお目々とよく動く口が顔の少し下辺りについていて、何ともプリチーなフェイスだった。
両方のお手々をちょこんと土の上に出している姿も、何となくゆるキャラっぽい。
「お前が何もしなくても、そこに居るだけで人と言うのは恐怖する生き物らしい。まして、お前はとても立派な体を持っているからな」
『そっか、ぼくってぇ、怖いんやぁ…。あんなぁ?ぼぉく、いつのまにかこんなに大きいなってましたんや。近くに一緒におった筈の友達も皆居なくなってしもててぇ。ぼくなぁ?いつのまにか1つぼっちになってたんや…』
咲良の言葉に、マンドレイク君はしょんぼりと項垂れてしまった。
その度にわさわさと大きな葉っぱが揺れるので、回避するのに少し困った。
このお話しを書いていて、そう言えば昔、青○大根ってキャラクターがいたなぁ…。と思い出していました。
私は結構シュールで好きだったのですが、今思えば結構思いきったキャラクターですよね?ww
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も18時頃更新させて頂きますので、またお読み頂けたら嬉しいです。