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四十六話目 依頼の確認②


3月7日の更新です。

本日も宜しくお願い致します!




「それでは早速、依頼内容のご確認をさせて頂きますが、え~と、《お庭に不気味な植物が生えてきたので、それを取り除いてほしい》と言う事でお間違い無いでしょうか?」


 僕は、今朝ギルマスから手渡された依頼書を読み上げながら、ソファーに座り直したリーマさんに問いかけた。


 リーマさんの隣にはクレアさんが座り、反対向きの依頼書の内容を熱心に読んでいる。


 読みにくいだろうとクルッと書類を回して、クレアさんに渡すと、彼女は少し照れた様な顔をしながら書類を手に取った。


 そんなクレアさんに、僕は一度微笑みを返してからリーマさんへと視線を戻す。


 ギルマスは【薬草の採取依頼】何て言っていたけれど、まさか【自分の家に生えた得体の知れない薬草らしき植物の除去】も採取依頼に入るとは思っても見なかったなぁ…。


「えぇ、そうです。半月程前になりますでしょうか…。私がお屋敷からお暇を頂いてこの家へ帰りますと、既に庭に生えておりました」


「半月前に、と言う事は、その前はまだリーマさんはクレアさんのお屋敷にいらしたんですね?」


「はい、そうで御座います。前々から痛めていた腰と膝がいよいよ訊かなくなってまいりまして、旦那様にご迷惑をお掛けする前にお暇を頂いたのです。幸い、私の母から受け継いだこの屋敷がありましたので、余生は此方で過ごそうと帰って参りましたらば、庭にあの様な物が生えておりまして…」


「あっ、そうでしたわ!シエロ君、(わたくし)が家に戻った時にリーマはもうおりませんでしたのよ?私に内緒で、ですわ!酷いと思いませんこと?」


 どうやらリーマさんは、クレアさんに何も告げずに屋敷を辞めて、この屋敷に戻ってきたらしい。


 いつも温厚なクレアさんにしては珍しく、プンプン口を尖らせて怒っていた。そりゃあ家に帰ったら、会いたかった人物が1人欠けてました。じゃあ悲し過ぎるよね?


 僕がそのまま伝えると、クレアさんは嬉しそうに笑った後、


「そうでしょう?全く、私にくらい教えておいてくれても罰は当たりませんのに!」


 と、今度は頬っぺたを膨らませてリーマさんを睨み付けた。昨日とは違い、迫力は無い。


「申し訳も御座いません。お嬢様にお逢いしては、私の決心が鈍りそうでご相談も出来ませんでした」


 クレアさんは、小さな子供がする様にリーマさんに体をすり寄せながら怒っていた…いや、これは拗ねているのかな?


 リーマさんもそれが分かっているから、クレアさんを受け入れてそのまま肩を優しく擦っている。


 けど、自分と同じくらいの背丈のクレアさんに寄りかかられるのは、リーマさんにとったらちょっと負担になっている様で、時折痛むのか顔を歪めている。


「あっ、そうだ」


「「??」」


 急に僕が声を出したので、クレアさんとリーマさんは、2人揃って首を傾げた。


「シエロ君、どうしたんですの?」


「あぁ、すいません急に大きな声を出して。リーマさんの膝と腰の痛みに、少し心当たりがあったものですから」


 僕が急に声を上げるのはいつもの事なので、それを知っているクレアさんは特段何事も無かった様に話しかけてくれる。


「まぁ。本当ですの?私では心当たりが無いままに魔法を使いましたので、リーマの痛みの原因が分かりませんでしたの。リーマ?貴方にはお話ししましたが、シエロ君は信頼できる私のお友達ですわ。是非一度診てもらって見ては如何かしら?」


「お嬢様がそこまで仰られるなら、このリーマに否やは御座いません。シエロ様、どうぞ宜しくお願い致します」


「僕を信用して下さってありがとうございます。クレアさんの信頼に応えられる様に、やってみます」


 そんな訳で、謎の植物を見る前に特別診療のお時間になった。




本日も此処までお読み頂きましてありがとうございました。


明日もこの時間(18時頃)に更新致しますので、またお読み頂ければ嬉しいです。



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