二話目 再会②
1月11日、鏡開きの日の更新です。
本日も宜しくお願い致します!
おまわりさん、こっちです!!
………は良いとして。
「くっ!何て力ですの!?……!!」
「ぐえへへへへへ。その顔もいいねぇ♪そそるねぇ♪……!?」
僕は下卑た笑いを浮かべ、ニヤニヤしているリチャードと、必死にリチャードから逃げようとしているローブ姿の女性との間に体を滑りこませると、そのまま女性の腕を掴むリチャードの手首を掴んだ。
人気の無かったこの場所に、突然現れた僕。
これには双方驚いたみたいだったけど、とりあえず無視。
女性の方は分からないけどリチャードはこっちを向いていた訳だし、何より冒険者のくせして、ここまで堂々と近づいて来た僕に気付かなかった方が悪い!
と言うか、この路地のすぐ向こうは大通りでもある訳で…。
あの怒鳴り声を聞いてれば、僕じゃなくてもその内気付くからね?って事で、今はリチャードへのお仕置きの方が優先です。
「どなた、ですの?」
僕はそんな言い訳を心の中でしつつ、急に増えた不審者を見る様な、そんな背中に突き刺さる様なローブ姿の女性の視線に耐えながら、リチャードの汚い面を睨み付ける。
ボクハアヤシイモノデハアリマセンヨォ~。
「リチャード、この間俺に言っていた事と、随分違う様だが?」
「あん?何だてめ…!そっ、ソラタの兄貴!?」
敢えて区切る様にして、頭の悪いこいつにも分かる様にしながら睨み付けると、リチャードはドスの効いた声で怒鳴り、それから徐々に尻窄む様に小さな声になっていった。
それに伴い、背後の女性からの視線が幾分か和らいだ様にも感じた。
…今にも射抜かれんばかりの視線だったので、ちょっとホッとする。
って言うか、誰が、お前の兄貴だって?こんな可愛くない弟とか、ごめん被るわ!!
ホッとして、心に余裕が出てきたからか、ちょっとさっきのリチャードの言葉が引っ掛かった。
「誰が、お前の兄貴だって?こんな可愛くない弟とか、ごめん被るわ!!」
はっ!つい心の声が外に出てた。
目の前のリチャードが若干しょんぼりしている気がする…。
いやいや。しょんぼりされてもお前の言動酷すぎて、今更許せないからな?
「ゴホン…。とにかく、だ!お前は俺との約束を破った。このままじゃこの人にも、前の被害者の方にも面目が立たんから、お前にはキッチリお仕置きを受けてもらう」
「は?兄貴、これは違うんだ!えっと…そう!新しい出会いを求めた結果で…」
僕が再度睨み付けてやれば、リチャードはしどろもどろになりながら言い訳を始めた。
……言い訳、か?これ?
「はい、有罪~。出会いを求めて女性の腕を引っ張って暗がりに連れ込むとか、余りにも無さすぎるわ!《発動》!!」
「なっ、何だぁ?」
とりあえずリチャードの言い分を聞いた後で、僕は【発動】の二文字を叫ぶ。
この間の時の様に許してもらえるとでも思っていたのか、リチャードは、僕が発動させた【ソレ】に、驚き、まるで踊る様に慌て始めた。
僕が発動させた、黒い蛇の様な影が、リチャードの腕にシュルシュルと巻き付き始めたからだ。
前回からの物語をお読み頂いている方には、口調が口調なのでお気づきの方も多いでしょうが、ソラタの後ろに居る女性はあの方ですww
明日もまたこの時間に更新出来ると思います。
此処までお読み頂き、ありがとうございました。