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三十六話目 カベルネ・ソーヴィニオン④


2月24日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



《バターン》


「真実を教えてやろうか!!」


 そう言って、何者かが勢い良く、この街の領主様のお屋敷の食堂に入ってきた。

 余りの勢いの良さに、元々今回の(いくさ)が原因でガタついていた扉が外れてしまう。


「おっと!」


 外れた扉を慌ててそっと食堂の壁に立て掛けるその人物の姿に、一斉に剣に手を掛ける兵士さん達と共に、僕達も警戒体勢をとる。


 空気が一瞬にしてヒリついたものへと変わった。



「おいおい、そう言う物騒なのは止めてくれよ。ほら、俺様、丸腰だぞ?」


 そんな空気などお構い無しとばかりに、へらへらと笑いながら武器を携帯してませんアピールをしていたのは、今まで話題の中心に居たカベルネ・ソーヴィニオンその人だった。


 この、何とも都合の良すぎるタイミングで現れておいて、此方に警戒するなと言う方が可笑しい。


「ふざけるでない!誰がその様な世迷い言を信じると言うのか!!」


 ガーランドさんが鋭い眼光をカベルネに飛ばしながら吠える。


「だっ、だって!本当の事なんだから仕方が無いだろ!!」


 ガーランドさんの咆哮にビビるカベルネ。


 その目にはうっすら光るものすら見える。……おいおい泣くなよ。



「あまり、私の息子を苛めないで下さいますか?」


 不意に、そよ風と共に穏やかな声が部屋の中に流れ込んできた。


 風の流れを見ると、外れた扉から中へ入ってくる人物の姿が目に飛び込んでくる。


《シャンッ》


 鈴の音の様な軽やかな音を部屋の中に響かせながら現れたのは、腰まである、流れる様な銀糸の髪。


 それと同じく銀色の瞳の中には、蛇の様な線がスッと入っていて、留め金が中国風の、丈の長いヒラヒラとした抹茶色の服は、その銀の色を一際華やかに見せる、妙齢の女性だった。


 女性は、細身の体に2つ、大きなメロンをつけている。


 まぁ、ナニがメロンかは敢えて言わないが、何だろう。この人?からは、悪いものを感じない。そんな気がする。



「くっ!もう1人おったか!お主ら、一体どうやって此処まできおった!!」


「どうやって?はて、私達は普通に歩いて此処まで入ってきましたが?」


 首を傾げてはて?と自身の顎にほっそりした人差し指をあてる女性に、ガーランドさんは更に吠えた。


「食堂の外にも街の中にも沢山の兵士や傭兵達が居たはずだ!よもや全てを手にかけたとでも言うのか!!」


 ガーランドさんはヒューマン族だけど、これが犬か狼の獣人ならグルルルルと威嚇の為に喉を鳴らしていただろう。


 今にも銀の君に斬りかからんばかりの迫力だ。


「何故私がその様な面倒な事をせねばならないのでしょうか?私達はただ、風に乗り、恩人の下へ馳せ参じたのみ。貴方方に敵意はありません。どうか、武器を下ろして下さいな?」


 対して女性はゆらりと風に吹かれた柳の様に静かに、冷静に、淡々とガーランドさんに向き合っている。


「むっ、むぅ?恩人とな?」


「えぇ、私の息子を救って下さいました。その恩人様は、あの方です」


 そして、【恩人】と言いながら、僕を指差して呼んだ。


 恩人?


 僕が?




メロンはメロンですよ(ゲス顔)


本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日もまた18時頃更新させて頂きますので、お読み頂けたら嬉しいです。

また宜しくお願い致します。


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