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三十四話目 カベルネ・ソーヴィニオン②


2月22日、猫の日の更新です。

本日も宜しくお願い致しますにゃん!


……先程、大変不適切な表現がありました事を、深くお詫び致します。




「どうしたユート殿?何か気になる事があるのなら、何でも言って見てくれんか?なに、どれだけ些細な事でも構わんから」


 ほれほれ、と手振り付きで先を促すガーランドさんの言葉に、裕翔さんが応える。


「えぇ、気のせいなら良いのですが…」


 裕翔さんにしては歯切れの悪い、奥歯に物が挟まった様な前置きをするなぁ?


 僕が首を傾げると、それに気付いた裕翔さんが、苦笑しながら続きを話し始めた。



「今回戦った敵の大将、カベルネ・ソーヴィニオン何ですが、もしかしたら偽物かもしれません」


「何だって!!?」


「それは本当かね!?」


「まさか、いや、そんな…」


 裕翔さんの小さな、でもよく通るその声は、脅威は去った。と、少し弛緩していた空気をピリッと引き締め、俄に食堂の中が騒がしくなり始めた。


 決して苦笑しながら話す様な、そんな軽い話しでは無くて、傾けた首を傾けたままにしながら、僕は固まってしまった。



「あっ、いや、もしかしたらってだけなんですが…」


「しかし、ユート殿には思うところがあったのであろう?その思った事を言って見てくれんか?」


 皆の狼狽え方に焦った裕翔さんは言い訳の様に違うかもしれないよ?と続けたけれど、それをガーランドさんに遮られる様に再度促され、裕翔さんは恐る恐ると言った感じで再び話し出した。


 話し出したものの、目が左右に勢いよく動いていたから、すっごい言葉を選びながら話しているんだな。と思った。


「はい。今回戦った時に、性格も使ってくる魔法もカベルネのものと同じ事は同じだったんですが、何と言うか…。剣の扱いが雑だったんですよ」


「ん?どういう事かね?」


「えっ…と。俺の知ってるカベルネは、乱暴だし粗暴だし、魔族以外は劣等種だと下に見ている様な酷い奴ではあるんですが、自分の剣を疎かにする様な奴では無かったんですよ。

それなのに、今回戦ったカベルネは、剣の手入れもろくにしておらず、自慢の剣も所々刃こぼれしてました。

魔法か何かで誤魔化してはいた様ですが、打ち合った時に剣がミシミシ言っていたので、ひびも入っていたかもしれません」


「うぅむ。確かにユート殿しか分からない話しかもしれんな…」


 ふむ。と自身のくすんだ金色の髪を撫で付けながら、ガーランドさんは眉間にしわを寄せた。


 頭を触るのは、彼が考え事をする時の癖みたいなものだ。


 でもそうか…。


 カベルネが、剣を粗末に扱う事は無いのか…。


 確かに僕があいつと剣を交えた時、あいつの剣は血で錆びていたし刃こぼれだらけだった。


 対して、裕翔さんと戦ってた時は綺麗だったから違和感はあったんだよね?


 そっかそっか。魔法で刃こぼれしていない剣に見せていただけなのか。


 と、1人で納得していると、


「ねぇ、魔族は大将に魔族以外を選んだりするもんなの?」



  更なる爆弾発言が、思いもよらぬところから飛び出した。




此処までお読み頂きましてありがとうございました。

明日も18時頃更新出来ると思いますので、またお読み頂ければ嬉しいです。



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