二十八話目 魔族とシエロ①
お陰様をもちまして、プロローグ分含め、30話に到達致しました!
これも、筆者の稚拙な文章をお読み下さる皆様のお蔭です。
本当にありがとうございます!
シエロの物語はまだ続きますが、皆様にお楽しみ頂ける文章を目指して邁進していく所存ですので、またお暇な時にでも、お読み頂けたなら幸いです。
2018年2月15日 お豚汁子
「何でそんなに楽しそうに人を斬れるのかって聞いてんだよ!!」
僕の叫び声が辺りに響く。
周囲の喧騒が遠退いて行く様な、不思議な感覚に襲われた。
そのまま、ギッと目の前の相手を睨み付ける。
すると、
「ははっ!何だそれ?楽しいからに決まってんだろうが!」
と笑いながら突っ込んできて、そのままの勢いで突き刺す様に腕を伸ばしてきた。
《ガキィン!ガキンッガンガンッ!》
慌てて剣で受けると、奴は、笑いながら右へ左へと出鱈目な剣撃を続け、辺りには鈍い音が幾つも幾つも響く。
刃こぼれ等まるで気にしないかの様な、無茶苦茶な剣撃によって、使われた剣は少しずつ、削れていっているのが見てとれた。
《ギンッ!ガギギンッ!!》
打ち合う度に、衝撃を受け流さない相手の剣が削れ、消耗していく。
対して、僕の方は刃こぼれ1つ見えない。
しかし、受け流しているから後退せざるを得ず、ジリジリと街の方へと押されていく。
《ギャンッ!ギッギギッ》
遂にはヒビが入り、よしっ、もう少しで折れる!そんな淡い期待が頭をよぎった。そんな時…。
「ふんっ。お前と打ち合うのは飽きた。死ね!」
ギチギチと音をたて、剣と剣が悲鳴をあげながら交差した時を狙って、奴が左手を離した。
流石は魔族。と言って良いのか、矢鱈と力が強く、片手なのに剣を支える力が弱まることは無い。
短気過ぎるだろ!って言うか、まずい!後ろは街だ!避けられない!!
そう思った時には、奴が放ったファイヤーボールが僕に直撃する瞬間でもあった。
《どおぉおおおん!》
轟音が響き渡ると同時に、着弾時に舞い上がった黒煙で周りの様子を確認する事が出来ない。
街は無事かなぁ?
「シエロ君!?」
そこへ、亜栖実さんの悲鳴じみた声が僕の耳に届いた。
え?何でそんなに冷静かって?
んなもん、慌てて結界張ったからに決まってるじゃん!
まぁ、そのお蔭でシャドがビックリして変身は解けちゃったんだけどさ…。
「は~い!無事ですよぉ~」
「良かった!君は大丈夫だ!って大見得切った手前、ちょっと不安だったんだ!!」
煙る黒煙の中心で、結界に守られながら返事をすると、亜栖実さんからも軽口混じりの返答がある。
でもくそう、事実だから言い返せない!
「くそっ!俺様の魔法が効かないだと!?結界何てズルいぞ!!さっさと出てこい!」
《ガインガインガインガイン》
まだ黒煙でもうもうとしている中、そんな事はお構い無しとばかりに何度も結界を斬りつけられる。
「ゲホゲホッ、ゴホッ」
ほらみろ、言わんこっちゃない。
今の爆発と魔法行使で大分頭が冷えてきたけど、何だろ?こいつ、単なる阿呆なんじゃね?
「ゴホッゴホゴホ」
はぁ、しょうがないなぁ…。
「ウィンド!」
風の初級魔法で辺りに立ち込める黒煙を吹き飛ばす。
風を起こすにしても、周りには兵士さん達がまだ隠れているはずだ。
その為、自分の身を守る為に結界を維持しながら、上空へ向けて風を起こさなくてはならなかったので、姿を変える方までは回らなかった。
出来れば【ソラタ】のまま倒したかったけど、この場合仕方ないと諦める。
「風?貴様か?くそっ、こんなそよ風ごときに負けないぞ!!」
うん、やっぱりこいつ阿呆だな。
そうこうしているうちに風が黒煙を巻き上げていき、視界が良好になってきた。
おっ、煙の中からアホ面が良く見えてきたぞ?
「結婚してくれ!!」
……………あん?
ナンパを通り越して、遂に求婚されたシエロ!明日はどっちだww
本日も此処までお読みくださいましてありがとうございました。
明日も18時頃更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します。