一話目 再会①
本日、3本日の更新です!
ざわざわと、一人一人が何を話しているのか分からない程の雑踏の中、僕はいつも泊まっている宿屋へ向けて歩いていた。
くれ~なず~む…止めよ。誰かに怒られそうだ。
さて、無事に依頼を済ませ、更に冒険者ギルドまで依頼成功の報告までしていたら、あっという間に夕闇がそこまで迫っていた。と言うわけ。
いつもの宿屋、まだ部屋空いてると良いなぁ…。
あそこ、最近何気に人気だからなぁ。泊まれなかったらどうしよう…。
ふう。それにしても、ここ最近はこうして簡単な依頼を済ませたり、拠点で薬を作ったりと、比較的平和な日々が続いていたからか、軽く平和ボケかも。
今頃亜栖実さん達は魔族領に着いた頃だろうから、僕だけ《平和ボケだ~》何て言ってられないんだけどね?
さて、と。一昔前の前世のお決まり(お約束)なら、ここらで綺麗なおねいさんの悲鳴でも聞こえてきそうな感じがするけど…。
「その汚い手をお離しなさい!」
おっとぉ?悲鳴ではなかったけど、むしろ凛としてて格好良かったけど、誰かが誰かに何かされてるみたいな声がしたぞ?
声のした方へと顔を向けると、どうやらその声は、可愛い小物類が自慢の雑貨屋さんと、カラフルな色を使った陶磁器が自慢の食器屋さんの間の細い路地から聞こえてきた様だった。
え?何で知ってるかって?僕が常連だからに決まってるでしょ?
さて、と。先ずは彼氏彼女のいざこざかもしれないからと、そぉ~っと路地の間を覗き込んで見る。
すると、
「いいじゃねぇか、おねいちゃん?こっちに来いよぉ~」
「お離しなさい!さもなければ、消し炭にしますよ!?」
そこには、3メートルはあろうかと言う、ゴリマッチョな大男ーーしかも腕も顔も毛深いーーに細い腕を捕まれて嫌がる、魔法使いらしき新緑色のローブを身に纏った女性が居た。
ここからでは、女性の顔は僕の角度的に見えないし、フードを被っているから髪の毛の色すら分からないけど、女性の細腕を掴んでいる大男の方には見覚えがあった。
あいつは冒険者のリチャード・プルギス。
ドラゴン○ールの天○一武○会でクリ○ンが初めて戦ったあいつみたいな見た目ーーあそこまで汚くは無いーーの、明らかに名前負けしているこいつは、つい先日も同じ様に自分よりも小柄で華奢な女性を狙ってイタズラしようとしていて、そこへたまたま通りかかった僕がしこたまこてんぱんにしてやったのだ。
あの時は、《「もうしませんから!許して下さい!!」》と言うリチャードの言葉を信じてーー勿論被害者の許可はもらったーー冒険者ギルドには報告しなかったけど…。
「ぐえへへへへへ。その凛々しい顔もいいねぇ♪」
……………はい、有罪。
やっぱりこいつは病気だわ。駄目だわ。ギルマスにつきだすしかないわ。
もしくは、この街の警備隊に引き渡しても良いかもな…。
おまわりさん、こっちです!!(正しい意味で)
まぁ、ただで見逃した訳じゃないけどね?……あっ、ただって、お金って意味じゃないよ!?
本日の更新はこれにておしまいです。
また明日もこの時間に更新出来ると思いますので、またお読み頂けたら嬉しいです!
宜しくお願い致します。