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二百七十九話目 さよならの後で


1月3日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



◇◆◇◆◇◆


《side:シエロ》



「そうか、彼等は旅立ったか…」


「はい。しかし、神様自ら力をお貸し下さったのですから、無事に元の世界へ戻る事が出来た筈です」


「ははは。そこは気にしてはいないさ。ただ、もう彼等に会えないのだと思うと、ちと寂しくてな?」


「そう思うなら、貴方の娘をユートの嫁に宛がえば良かったではありませんか?」


「まだ3歳にもならぬ我が娘をか?ユートが嫌がるだろう?」



 ないない。と王様が返せば、王が娘を手放したくないだけでしょう?と、宰相様が更に返す。


 テンポの良い2人の掛け合いを見ていると、まるで兄弟漫才を見ているみたいで、とても楽しい。



 さて、此処はお城の中にある、王様の自室。


 前にも通された事のある部屋だ。



 ……いくらなんでも簡単に自室に通しすぎな気もするけど、まぁ王様だからなぁ…。



 まぁ、この件はスルーするとして、教会をお借りした御礼と、挨拶に来た。って、訳です。


 あっ、勿論宇美彦と葵君もいるよ?



「まぁ何にせよ、だ。ウミヒコ、マモル、大義であったな?君達が残ってくれて、余は王として嬉しいよ」


「「はっ!」」


「王としてじゃなかったら?」


「すっげぇ嬉しいけど、本当に帰らなくて良かったのか?親の立場としては、そっちの方が心配……って、何を言わせるんだ!?フェザント!!」


「ははは。わざわざ【王】として、何てつけるからですよ」



 つられてしまった王様は、顔を赤くしながら宰相様を睨み付ける。


 宰相様はケロッと茶化しながら返す。


 表情を変えずに話すから、余計におもしろい。



「はぁ、まぁ良い。それで?君達はこれからどうしたいんだ?」


「どう、したいとは?」



 溜め息混じりの王様にそう訊ねられて、言葉に詰まる。


 意味は分かるけど、王様の意図が分からなかったんだ。



「うん。これまで君達は【勇者】として国やひいては世界の為に戦ってもらっていただろう?」


「はっ、はい…」


「しかし、勇者としての最終目標である魔王を倒した事で、その目的は達成された。勿論、国として、友人としてこれからも君達との関わり方に変わりはないが、今までのまま。と言う訳にはいかないだろう?何より君達の人生だ。国としても、これ以上君達を縛り付ける様な事はしたくないからな」


 で?どうしたい?


 そう続けられ、ますます僕は言葉に詰まった。


 勿論やりたい事はあるけど、それは今まで将来の話だったんだ。


 こんな急に…でもないのかな?でも、ここまで急に魔王の事が解決する何て思ってもみなかったからなぁ。



 でも、それは宇美彦達も同じな筈だよね?


 何て隣を見ると、



「ん~。取り敢えず俺ーーー、あっ、いや私は、恋人に早く会いたいッスね。んで、後はその恋人と一緒に冒険でもしたいッス!」


「俺は、取り敢えず寝たいですね。最近色々な事が立て続けで、いい加減寝不足ですよ」


 何て葵君が、凄く楽しそうにそう答えた。


 次いで、宇美彦はウンザリした様な表情を浮かべながら答えている。


 え?そんなんで良いの?



「ははは。そうか、マモルは冒険がしたいのだな?うんうん、俺も若い時は散ざっぱら冒険したものだ」


「その度に乳母のサンタナを困らせて、挙げ句父上に叱られていましたもんね?」


「何だフェザント?喧嘩なら買うぞ?」


「ふっ。売りませんよ。面倒臭い。私もウミヒコと一緒で、暫くお休みを頂きたいくらいなのに」



 うんうん。と腕を組みながら、王様も楽しそうに返すと、宰相様がまた茶化す。


 そんな2人を宇美彦と葵君はニヤニヤしながら見ていた。


 皆の周りを漂う空気が柔らかい。



 あ~。そっか。そんなんで良いのか。



「じゃあ僕はーーー」



 僕は皆の会話に混ざるべく、取り敢えず明日したい事を頭の中でリストアップしながら、口を開いた。



本日は、もう一本更新致します!

宜しくお願い致します

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