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二百七十七話目 ただいま


明けましておめでとうございます。

本年も宜しくお願い致します!


キリどころが分からず、本日いつもより少しだけ長めとなっています。

予め、ご了承くださいませ_(^^;)ゞ




◇◆◇◆◇◆


《side:裕翔》



 サラサラとした、洗い立てのシーツの感触と、柔らかな布団の心地好さを頬に感じ、そっと目を開けた。



「見慣れない天井だな…」



 思わず漏れた言葉に、自分でも笑いそうになる。


 どこぞの異世界召喚ものでもあるまいし。



 ?



 そこまで考えて、



 !



 ハッとして飛び起きる。



 今の今まで、俺は正しく【異世界】に【召喚】されて【勇者】をしていたじゃないか!?



 寝ぼけていたにも程がある、ボケた自分に心の中で喝を入れ、飛び起きながらぐるりと辺りを見回してみる。



 白い、いや、少しクリームがかった色のカーテンらしきものに囲まれたベットと、消毒液の匂い。


 清潔そうなシーツと、真っ白な掛け布団がかけられたものに、俺は寝かされていた様だ。


 次いで、何かに引っ張られる感覚に気づいてそちらを見ると、左腕から伸びる管や、それに繋がれて上から吊るされているビニールの容器が目に入る。



「は、ハハ。点滴だ…」



 ビニールの容器に書かれた文章の意味は分からなかったけど、容器に貼られたシールには、ハッキリと日本語で【白石裕翔様】と書かれてあった。


 久しぶりに見た日本語や、あからさまな化学物質に思わず笑みが溢れる。



《シャッ》


「あら、白石さん目が覚めましたか?」



 俺が発した声に気がついたのだろう。


 カーテンを開けて、白衣の看護師さんが声をかけてくれた。


 カーテンが開かれた事で、外の明かりが顔にあたる。外は昼間な様だ。


 外の様子があまり見えないところを見ると、俺がいる病室は階数的に結構高い位置にあるのかもしれない。



「気分が悪いところはありませんか?何処か痛いところとか」


「あっ、はい。……大丈夫みたいです」



 美人の看護師さんに優しく話しかけられ、慌てて自身の体を確かめてみるけど、特に異変はみられなかった。


 うん。異変と言ったら簡易の入院着みたいなの着せられてる事くらいかな?



「そう、良かった。今先生をお呼びしますので、なるべく横になっていて下さいね?」


「あっ、はい…」



 病室を軽やかに出ていく看護師さんを目で見送りながら、そのまま視線を横に滑らせる。



「あれ?亜栖実?」


「よっ!やっと起きたな?」



 やっと気がついた~。と笑いながら、隣で亜栖実が手を振った。


 振らなかった方の腕から俺と同じ様な管が見えたので、亜栖実の腕にも点滴がつけられているらしい。



「僕の向かいには誠治も寝てるよ?って言っても、まだ起きないんだけどさ?」



 そう言って指差された方を見れば、確かに誠治さんが寝かされていた。


 ベットサイドにかけられたプレートには、【月島誠治】の文字が見える。



「良かった。皆取り合えず無事だったんだな…」


「まぁね?」


「それで?何で俺達は病院(ここ)に?」



 皆無事に帰って来れた事に安堵の溜め息を吐きながら、亜栖実に訊ねる。


 少なくとも俺より先に目が覚めたんだ。何か知っているだろう。



「ん?あぁ。何でも僕達は爆発事故に巻き込まれたらしいよ?」


「はぁ?」


「ヒヒヒ。笑っちゃうよね?邪神の影に触れた衝撃が近くの町工場で爆発事故が起きた。って事に変換されちゃってるんだ。しかも、今日はその爆発事故が起きた次の日だぜ?いや~。時空様の優秀さに、流石の僕も脱帽だよ」



 俺が考えていたよりも何倍も多い情報量に目を白黒させていると、亜栖実はまた楽しそうにケラケラと笑う。


 すると、



『ふふふ。お気に召した様で良かったよ』



 と、突然頭の中に声が聞こえてきた。


 今話にあがったばかりの、時空間の神様の声だ。


「え?」


「かっ!?」


『あぁ、答えなくて良いからね?変な人に思われちゃうから。ふふ、ちゃっちゃと本題に入るとね?オプションで君達が飛ばされたその日の真夜中に戻しておいてあげました☆オマケで服もあの日の物と同じ物を着せておいたから、たぶん矛盾なところは無い筈だよ?』



 反射的に反応した俺達を制し、神様はツラツラと今あがった疑問の説明をしてくれる。


 言われて見れば、確かにベットサイドにあの日着ていたTシャツやデニムのパンツが畳んで置いてあって、壁にかけられていたハンガーにはお気に入りだった黄色いパーカーがかかっていた。


 あの時していた音楽プレイヤーまで用意されていたので、俺は神様のあまりの律儀さに、思わず笑いそうになる。



『まぁ、細部に間違いとかあるかも知れないけど、そこはご愛敬。って事で許してね?後は…そうだな、呪いを解いた関係で、君達のレベル的なものは下がっちゃってるけど、君達の経験全てが無くなった訳じゃない。だから、暫くはそっちの生活で何かと不便な事が出てくるかも知れないけど、それも追々慣れてもらうしかないかな?』



 後はね~?何て呑気な声が、頭の中に響く。


 此方に送ってもらって、そのままさよならだとばっかり思っていた俺は、律儀で真面目すぎる神様に、ちょっと申し訳なく思いながら、彼の話の続きを待つ。



 って言うか、お医者様を呼びに行った筈の看護師さんが戻って来ないな?



『あぁ。この部屋の外の時間を少しだけ止めさせてもらってるから、誰も来ないよ?えっとね?そうそう…』


「サラッと流す様な内容じゃないじゃん!?って言うか、それなら別に僕らが神様と話したってバレないじゃないですか?この部屋、僕達3人しかいないんですよ!?」


『あ~。そっか!アハハ、気づいてなかったよ』


「いや、アハハじゃないし…」



 あんまり心の中を読まれるのに慣れてなくてビックリしている間に、亜栖実が突っ込んでくれていた。


 うん、やっぱりこう言う時の亜栖実さんは頼りになるなぁ。



元々着てなかった?

と思われたかも知れないのですが、元々着ていた服はチートアイテムになってしまったので、女神達に回収されました。

その内、番外編で触れたいなぁ…。


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します


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