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二百七十六話目 お別れ③


12月31日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「宇美彦、一人っ子の俺に出来た兄貴みたいな君と別れるのは寂しいよ」


「あぁ、俺もだよ。弟が増えたみたいで楽しかった。またな?」



 敢えて【またな】って言う宇美彦の格好よさに悶えそうになりながら、僕は今度は亜栖実さんに抱きつかれていた。


 一言も言葉を発しないまま僕を抱きしめる亜栖実さんによって、僕の胸から頭の辺りはびっしょびしょになっています。


 その辺に触れないくらいの男子力はあるつもりなのでジッとしているけど、このまま向こうの世界まで抱えて連れて行かれるんじゃないか?くらいはビビってるのですよ。うん。



「亜栖実、シエロ君がびしょ濡れの子犬みたいになっていますから、早く離してあげてください?」


 びっしょびしょの僕を見かねた月島さんが、亜栖実さんを慰めながら助けてくれた。


 って言うか、誰が【子】犬やねん!?



「うぅ~。ごっ、ごめんシエロ君~~」



 亜栖実さんは謝りながら僕を離してくれたけど、泣きすぎてしゃくりあげている。


 こんな亜栖実さん、始めてみた。って言うか、泣いてる亜栖実さんなんて初めて見たよ。



「いえ、これくらい大丈夫ですよ?でも、僕なんかの別れを惜しんで下さってありがとうございます」


「うぅ。シエロくーーん!!」


「ギャアアアアー!?」




「うん。良いんだけど、早くしてくれるかな?」


 時空さんが、寂しそうに呟いた。



ーーーー

ーー



「じゃあ」


「うぅ~。じゃあね~~?」


「皆さん、お元気で」



 手を振りながら、裕翔さん、亜栖実さん、月島さんが魔方陣を潜っていく。


 亜栖実さんは何度も此方を振り返りながらだったので、しまいに宇美彦や葵君から【早く行け】何てからかわれていた。



「じゃあね~~?」


「あはは、あいつまだ言ってるよ」


 小さく聞こえた最後の声に、宇美彦が思わず吹き出す。


「はは、本当だね?」


「ひひ、本当ッスね?」



 つられる様にして、僕達も吹き出した。


 僕に関しては、笑ってでもいないと泣きそうだ。ってのが本心だけど、この時だけは、どうしても泣きたくなかった。



「あっ、聞こえなくなったッスね?」


 耳をすませてみるけど、さっきまで小さく聞こえていた亜栖実さんの声は、いつのまにか聞こえなくなっていた。


 少し、いや、それが大分寂しい。



「あっ、本当だ!向こうに着いたかな?」



 隠すように、わざとらしく明るい声を出す。


 宇美彦と時空さんにはバレるだろうなぁ。何て考えながら。



「さぁな?まぁ、神様の魔法何だから安全だろうさ、ねぇ、神様?」


「えっ?あっ、神様。って僕か!あはは、慣れてないから忘れてたよ」



 優しい2人は、そんな僕に触れずに。でも敢えて明るくふざける感じで離してくれた。


 その心遣いが嬉しい。



「え~?何か心配になってきたよ?」


「あはは。そこは大丈夫だよ~?」



 僕は、そんな2人の気遣いに感謝しながら、時空さんをちゃかす様に笑いかけた。


 もう3人の魔力を感知する事も出来ない。


 3人が無事に向こうに辿り着ける事を祈りながら、僕達は少しだけ、礼拝堂の中心で笑いあった。




あっと言う間に大晦日ですね?

本年も大変お世話になりました。


中々終わらずにズルズルと引き伸ばして申し訳ありませんが、もう少し、お付き合い頂ければ幸いです。

来年も宜しくお願い致します


あっ!明日も更新致しますので!宜しくお願い致します!!


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