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二百七十五話目 お別れ②


12月30日の更新です。

本日も宜しくお願い致します




「出来ればずっとそうしてもらいたいところではあるけど、そろそろ良いかな?」



 どれくらい話し込んでいたのだろう?


 こんな他愛ない会話、毎日していたはずなのに最後だと思ったら止まらなくなった。


 気づけば太陽の位置が大分傾いて、大分時間が経っていた事を伝えていた。



「あっ、すいませんお待たせしてしまって…。宜しくお願いします」



 時空さんに裕翔さんが頭を下げる。弾かれた様に首を左、つまり時空さんに向けたのが面白い。



「うん。大丈夫だよ?でも、そろそろリミットが近づいてきてるからね。ごめんね?」


「いえ、そんな事ありません。寧ろこんな時間まで頂いてありがとうございました」



 ごめんね。と苦笑する時空さんに、裕翔さんは更に頭を下げた。


 気にしないで?と時空さんは手で裕翔さんを制し、ニッコリと笑う。



「ありがとうございます」


「うん、じゃあ皆も良いかな?」



 顔を上げた裕翔さんに満足したのか、時空さんは此方を向いて、僕達に軽く手を振った。


 それに伴い、亜栖実さんと月島さんが前に出る。僕と宇美彦、そして葵君は少し下がった。



「はい、宜しくお願いします」


「お待たせ致しました。宜しくお願い致します」


「うん。分かった。じゃあ、行こうか?」


「「「はい」」」


「うん。良い返事だね♪じゃあ……」



 時空さんがスッと右手を上げる。



《フォンッ》


 すると、説教台の前。丁度3女神のステンドグラスがある正面に、大きな魔方陣が現れた。


 時空さんの瞳と同じく鮮やかなエメラルドグリーン色のその魔方陣は、一つ一つの呪文が解読出来ない程に微細で、精緻なものだ。


 魔方陣は、発光しながらクルクルとゆっくり回っている。



「綺麗…」



 亜栖実さんが魔方陣を見つめながら、ポツリと呟いた。


 うん。確かに綺麗だ。


 ステンドグラスから射し込む光と合間って、魔方陣の神秘性を更に深めている感じがした。



「さぁ、これが君達を元の世界へと帰してくれる魔方陣だよ?この魔方陣を潜れば、その先は元の場所だ」


「え?元の世界ってだけじゃなくて、元の場所に帰れるんですか?」



 裕翔さんが魔方陣を指差しながら、そう訊ねた。


 時空さんはそれに対して、



「うん。だって、場所がずれてたら帰りづらいでしょ?さぁ、どうぞ?」



 なんて返しながら、促す。


 あんまり軽~く言うものだから、素直な裕翔さんはそのまま魔方陣まで進み、



「あっ!?」



 と、大きめの声をあげながら振り返った。


 次いで僕達の側まで凄い速さで駆け寄って来ると、しゃがみながら僕をギュッと抱きしめる。



「え?ゆっ、裕翔さん?」



 あんまりビックリし過ぎて、淡々とした説明しちゃったよ!


 何て慌てながら、裕翔さんの肩をぺしぺし叩く。


 すると、顔を上げた裕翔さんは涙目になりながら、


「シエロ君、今までありがとう。君のお蔭で俺達は色々な冒険が出来たし、沢山の妖精や精霊様にも会えた。君は否定するだろうけど、本当にアトラは君にどれだけ救われたか分からないんだ。本当に、ありがとう。そして、彼等を宜しくね?」



 何て涙目のまま微笑んだ。


 うぅ~。そんな事、そんな事言われたら~~。



「何で、我慢してるのに泣かせる様な事言うんですか?ズルいですよ…」


「あはは、ごめんね?でも、帰る前にどうしても伝えておきたかったんだ」


 そう言って裕翔さんは笑いながら、僕の頭に手を乗せる。


 うん、裕翔さん、僕が実は年上だって事忘れてるよね?


 お蔭で涙が少し、引っ込んだ。



あれ?今年中に終わらないぞ!?


本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します


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