表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

284/293

二百七十四話目 お別れ①


12月29日の更新です。

本日も宜しくお願い致します





「準備はいいかな?」


 スッゴい厳かな感じで礼拝堂に降り立った新しい神様は、そんな空気をぶち壊す程の気楽さと気安さを伴いながら、スタスタと僕達の側まで歩いて来た。


 にこやかに手まで振ってる様子からは、暴れる魔王をあっさり吸収する程の力を感じる事は出来ない。


 って言うか、近所の気の良い兄ちゃん。って感じで、威厳もへったくれも無いな。うん。



「そんな事言わないでよ」


「だって事実ですし」



 何て考えていたら、ちょっぴりしょぼんとした時空間の神様が僕の前で立ち止まった。


 やっぱり読まれていた心の件はまぁ、諦めるとして流し、僕は感想だけを伝える。


 時空間の神様は、え~?何て口を尖らせながら、それでも楽しそうに笑いながら、僕の前を通り過ぎ、裕翔さんの前に立った。



「まぁ、威厳云々はそのうちつくだろうから、取り合えずこんなんで許してね?」


「いえ、そんな事は…」


「うん、ありがとう。じゃあ、帰る子は僕の前に並んでくれる?」



 何とか慰め様とした裕翔さんをサラリと流し、時空間の神様は……長いな時空さんは、今日の本題へと移る。


 うん。流石時間を司っていた時間が長いだけに、マイペースな神様だ。



「それが僕の持ち味だからね♪」


「はいはい。あれ?【僕】で統一したんですか?」


「うん♪君とお揃いだね♪」


「ははは。そうですね~?」



 僕と時空さんがくだらない話をしているうちに、亜栖実さん、月島さん、そして、裕翔さんが時空さんの前に並んだ。



 そう、宇美彦と葵君は、この世界に残る事を選んだんだ。



 そして、礼拝堂の説教台に寄り掛かっていた時空さんは、少し離れた場所で裕翔さんを見ている宇美彦と葵君を見やると、少し寂しそうに笑った。


 そして、



「君達は、残る事を選んだんだね?」



 と、声をかける。




「はい。ソラがここに居るなら、俺は向こうへ帰る意味もありませんしね?」


「俺もアルミナがいない世界に未練は無いんで!……まぁ、裕翔と離れるのは寂しいッスけどね?始めてのダチッスから」


「本当に、それで良いんだね?」



「「はい」」


「そう」


 キッパリと言いきった2人の態度に、時空さんは爽やかに笑った。



「シエロ君も納得済みかい?」



 と、此方に急に振られたので少し焦る。



「納得済みか?って言われれば、まぁ…承諾はした。って感じですかね?僕的には、出来れば皆戻って欲しかったので…。僕はもう戻れませんから」


「そっか、シエロ君は向こうの世界では死んでるんだっけ?」


 こう言う時、いつでもズバッと言ってくれる亜栖実さんの存在は有り難い。


 ほら、そこっ!僕が何とも思ってないところで落ち込まないの!!


 まぁ、そんな裕翔さんの優しさに救われたところもいっぱいあるんだけどね?今は笑ってて下さいよ。


「えぇ。それに、僕にはこっちの世界にも両親や兄妹がいますからね?あっ、なんなら宇美彦も養子にでも入って兄弟になるかい?今ならお兄さんになれるぜ?」


「お前の兄貴とか、ゴメン被るわ!友達だから笑って済ませられるけど、兄弟になんかなったらこっちの胃がもたん!」


「えー!何だよそれ!?」



 何て宇美彦に文句を言いつつ裕翔さんを盗み見ると、裕翔さんは笑っていた。


 良かった。裕翔さんには、最後くらい笑ってて欲しかったからね?


 僕はすぐに意図を読み取ってくれた親友に、そっと【ありがとう】のサインを送りながら、彼らとの最後の一時を心ゆくまで味わった。



本日も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。

明日もこの時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ