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二百七十二話目 新しい神


12月27日の更新です。

本日も宜しくお願い致します


2019年2月10日に改稿致しました。


 魔王を取り込んで、神様に一番近かった精霊さんが、神様になりました。


 ……何のこっちゃ!?




「まぁ、そのままの意味かな?」


「人の心の中を読むの、止めた方が……。まぁ今更ですね…。で?時間さんは何の神様になったんですか?」


 サラリと人の心の中を読む時間さんにツッコミを入れつつ問いかける。


 まぁ、心の中を勝手に読まれる事には慣れてるけど、慣れてるからって読まれても平気。って訳じゃ無いのだけは伝えたかった。って、だけです。はい。



「そうだな。私も気になる」


「そうそう!」


「ん…」



 女神達も…いや、その後ろの裕翔さん達も気になっていた様だ。しきりに、女神達の後ろで頷く、裕翔さんと月島さんの姿があった。


 他の人達は展開についていけず、ポカンと呆けた顔をしているけど、誰もさっきまでの緊張感を伴ったシリアス顔をしている訳じゃ無いところを見ると、一応味方認定はしてもらえたみたいだね?



「ふふふ。仰せのままに致しましょう。シエロ君、私は魔王を取り込む事によって、【空間】、【闇】、【光】の属性を手に入れた。で、その力を使って、【時空間】の神になったのさ!」



「空間と、闇と光か…。あれ?()?確か魔王は空間と闇属性の精霊だった筈だよね?ん~?じゃあ、光は何処からきたんだ?」


 僕が首を傾げていると、時間さんは何が面白いのかニコニコと笑いながら、



「おっ、良いところに気がついたね?そうだよ?闇鍋君は空間と闇の精霊だった。でも、彼は光属性も持っていたんだ。んフフ。何故だか分かるかい?」


 と、逆に質問してきた。



「え?う~ん?」


「まさかっ!?」



 まさか質問を質問で返されると思っていなかった。


 と、僕が更に頭を抱えて唸っていると、後ろから驚いた様な声が上がる。


 見れば、コローレ。つまりシルビアーナが口をワナワナさせながら目を見開いていた。


 え?何か分かったの?



「まさか、お姉様か」


 鋭い眼差しを時間さんに向けながら、そうシルビアーナは呟いた。


 それを聞き、時間さんは満足そうに頷く。


 え?お姉様?




「正解です。シルビアーナ様。魔王は何処からかアナスタシア様の体を見つけ出し、自身の体に取り込んでいた様です」


「なるほどな。お姉様は元々光と闇を統べておられた方だ。闇に飲み込まれても尚、光が残っていてもおかしくはない、か…」


「ちょっ、ちょっと待ってよ!?アナスタシア様って理事長先生でしょ?確かに理事長先生が元女神様だった。って話はさっき聞いたけど、魔王は女神様が理事長先生だった。って聞いて驚いてたじゃない?だったら取り込む何て出来ないんじゃ…」



 妙に納得しているシルビアーナと時間さんに突っ込みを入れた。って言うか、物理的に突っ込んだ。


 だっておかしいもんね?ねぇ?



「え?……あ~。シエロ君、我が言ってるのは【体】の方だよ。女神様は、体と頭に分けられて封印されたんだ」


「へ?そうなの?」


「そうそう。本当ならもっとバラバラにするべきだったんだろうけど、シルビアーナ様だって実のお姉さんの体を切り刻む趣味は無いからね。魂が宿る頭を学園に、空の器と化した体を異空間に封印した。って訳さ。でも、あの魔王は空間魔法にかけてはピカ一だったからさ、体だけ見つかっちゃったんだ」


 そう言って、時間さんは両の手のひらを空に向かって軽く広げ、お手上げポーズをしながら肩をすくめてみせた。


 でもなるほど、体と頭に分けて封印されていたなら、確かに魔王があんな反応をするのも頷けるのかもね?


 ……でも、待てよ?


「だったら影は?裕翔さん達をこっちに飛ばす原因になった影は、一体何だったの?」


「あ~。あれは心のかけら。ってとこかな?女神様の残した負の感情がもたらした残留思念さ。放っておいてもじきに消えるよ。気になるなら、僕が後でちょちょっと何とかしておくから気にしないで♪」


「はっ、はぁ…」


 余りの軽さに戸惑う。裕翔さん達や僕をあれだけ苦しめた【影】をとるに足らない呼ばわりだもんね?誰だって戸惑うでしょ?ねぇ?



「まぁ、どっちにしても今は私の体の一部だからさ、そこまで気にする事はないさ☆後、何か聞きたいことはあるかい?」


 意外にも気前の良い時間さんは、そんな事を言い出した。正直、じゃああの理事長先生は首だけお化けなのか!?とか突っ込みどころは多々あるが、今一番聞きたいこととなると…。



「ん~。聞きたいことねぇ…。あっ!時空間ってどゆ事?」


 そえ言えば、【時空間】って何だ?と思い至った僕は、早速とばかりに切り出した。


 聞いた途端。時間さんが満面の笑みになる。そして、



「あ~。はいはい。時空間って言うのは、彼方此方の異界へと道を繋げたり、時間を遡ったりする事が出来る属性。って考えてくれれば良いよ?ま~。簡単に言うと、君達を元の世界へと安全に帰す事も可能だ!って事かな?」


 と、教えてくれた。笑顔が胡散臭すぎて、一瞬内容が頭に入って来なかったが、僕らの世界への行き来が出来る様になった。って事らしい。



 なるほどねぇ~。僕らを元の世界へ。ふ~ん…。



 ん?



「それは、本当ですか?」


 すると、今まで女神達の後ろから様子を伺っていた裕翔さんが、最前列に飛び出してきて半ば叫ぶ様に問いかけてきた。


 でも、確かにそうだ。時間さんがあんまりヘラっと言うもんだから思わず普通に流しちゃったけど、元の世界に帰れるんだから、普通はこんな反応になるよねぇ?



「勿論。僕は嘘をつかないよ?でも、これには【但し】もつくんだ」


「但し、ですか?」


「そう、但し。流石にこの世界の理に縛られると、流石の俺も好き勝手出来ないからね?私がこの力を使って君達を元の世界へ帰してあげるには、リミットがあるんだ。いやはや神には誓約が多いね?」



 元時間さんは、そう言ってヤレヤレ。と首を振った。


 さっきから一人称がフラフラしてるのが気になるけど、たぶん今までの後遺症みたいなものなんだろうね?うん。それも後で聞いてみよう。



「リミット…。差し支えなければ、そのリミットがいつまでか教えて頂いても良いですか?」


 更に、裕翔さんが緊張混じりに問いかける。


 手を固く握り、見ると少し唇が震えていた。




「そうだね…。今神になったばかりだから、たぶん3日くらいは余裕がある筈だよ?」


「そうだな、そのくらいの時間はあると考えて良いだろう」



 元時間さんの答えに、シルビアーナが同調する。


 神様の先輩の言葉に、裕翔さんは安心したのか、


「そ、そうですか…。ははは、そっか、帰れるんだ…」


 と、笑いながら、その場にへたりこんだ。




本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もこの時間に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します


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