表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

281/293

二百七十一話目 魔王の最後


12月26日の更新です。

本日も宜しくお願い致します




「嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。助けて……」



 ずぶ。



 ずぶぶぶ。



 魔王の体が、見る見るうちに時間さんの体の中に沈んでいく。


 魔王はぶるぶると恐怖に震え、叫びながらもがくけど、時間さんはただその様を見守っているだけ。


 時間さんは、まるで妊娠中のお母さんの様に柔らかく、慈愛にも似た笑みを浮かべていたけど、絶賛逆出産中の時間さんと魔王のもがき具合を見てると、若干SAN値ェックが入りそうな感じにも見える。


 だってエグいもの…。



「「「ほら、抗うんじゃない。皆そこで待ってるんだから、ゆっくりお休み?」」」


「何をっ!?……あれ?そうなのかな?嫌、でも……。もう、訳、わかんな………」



《トプン》



 最後は目をとろんとさせた魔王は、ウトウトと微睡む様にして時間さんの体の中に沈んでいった。


「お休み」


 最後に時間さんは自身のお腹を撫でて微笑んだ。


 魔王は、時間さんの体の中に消えた。



 何だか呆気なさすぎて実感もへったくれも無いけれど、こうして、僕ーーいや、裕翔さん達の長い戦いは幕をおろしたのだった。





「「「ふふふ。良い子♪」」


 呆気に取られている僕達を余所に、時間さんはそう言ってお腹を一撫ですると、フと顔を上げた。


 そして、1歩。此方へ向けて足を踏み出す。



 ん?



《シャラ》


 時間さんが1歩。また1歩と足を踏み出す度、衣擦れの音がする。


 でも、時間さんの衣服は今まで不安定で、輪郭がぼんやりしていたからそんな【動く音】なんてしなかったのに、何で?



「あれ?」


 観察してみると、おかしな事に気がついた。



「顔が変わらない…?」



 今、時間さんはシュッとしたイケメンさんの顔をしているけど、それが固定されていた。



 今までの時間さんだったら、見る度に顔や体つきが変わり、一時も同じ顔を見る事はなかったのに、今、僕の目の前には、銀色の髪の毛をサラリと腰まで伸ばした緑色の涼しげな瞳が印象的なイケメンが居る。



 そう言えば声もダブらないし体の揺らぎも無くなってるな…。


 何て思いながら見つめていると、そのイケメンは同じ顔のまま、僕達…と言うか女神達の前まで歩いてくると、スッと跪いた。



「シルビアーナ様、スカーレット様、ブロナー様、ご無沙汰して申し訳も御座いませんでした」


「いや、気にすることは無い…。しかし、その姿は?」


 自身の前で跪く時間さんに、シルビアーナが問いかける。


 そんなシルビアーナにニッコリと微笑みを返すと、時間さんは



「はい。魔王を取り込んで、漸く神の頂へと辿り着く事が出来ました♪そのお蔭で、体も定着したのです」


 と、答えてくれた。


 そっか~、時間さん、神様になったのか~。



 ……………えぇっ!?



本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ