二百七十話目 時間の精霊と魔王
12月25日クリスマスの更新です。
ケーキ食べてお祝いしなくちゃ!!
本日も宜しくお願い致します。
「「「んふふ。やっと、この時が来たよ。君が、全ての部下や配下達を飲み込んでしまうこの時を待っていたんだ♪」」」
時間の精霊さん……長いな。時間さんは、魔王の髪の毛を撫で付けながら、そんな風にニコニコと笑った。
「何をする気だ?」
魔王は怯えた様子を見せながらも、ひっくい声で時間さんにそう問いかける。
時間さんは、そんな魔王の姿に満足げに笑いながら、
「「「んふ。君が、邪神にしようとした事だよ♪」」」
と、楽しくて楽しくてたまらない様子で答えた。
それを聞いて、面白い様に魔王の顔が青く染まる。
「まさか…」
「「「「その、ま・さ・か☆」」」」
「やっ、止めろ!」
魔王が突然暴れだす。
が、時間さんはびくともせず、
「「おやおや?駄目だよ~?暴れたら危ないよ~?」」
何て、小さな子に諭す様な口調で魔王を嗜めている。
尚、この間時間さんは本当にぴったりと魔王の背中に貼り付いていて、一ミリも動いていない。
そして、僕達はいつの間にか蚊帳の外に放り出されてしまっていた。
え?元からあんまり中にいなかっただろうって?
ふっ。
主人公なのに影が薄い。って言うのは僕の事さ☆
周りが濃いキャラばっかりだから、いい加減慣れたよ。……くすん。
「やっ、止めろ!嫌だ!嫌だー!!」
おっと、一人寂しくすすり泣いてる場合じゃないね?
と、僕は顔を上げた。
「うわっ!?」
思わず声が出てしまう。だってーーー
「「「ほら、怖くないよ~?」」」
「嫌だ!誰か助けて!!いっ、イチ!イチ!!」
叫びながら泣きじゃくる魔王が、時間さんの体の中に徐々に飲み込まれていっていたからだ。
「「「おやおや。イチ君はさっき君自身の手で取り込んでしまったじゃないか?ふふふ。大丈夫。皆一緒だよ?さぁ、僕達と一つになろう?」」」
「嫌だ!止めっ!止めろーー!!」
魔王の体が時間さんの体の中にめり込み、ズブズブと沈んでいく。
時間さんは魔王を宥めすかしながら、何とか落ち着かせようとしているみたいだけど、どう見ても逆効果。って感じだよね?
まず、言ってる事が怖いもん…。
「嫌だ、やだやだやだ!」
魔王がすがる様に手を伸ばす。
伸ばした先にはスー君が居た。
スー君に黒スーの姿を重ねているのか、違うのか。
スー君はその様子に、少し怯えながら僕の後ろに隠れる。
「スー君、大丈夫?」
「うん、大丈夫…」
「何なら、僕の中に入ってる?今の君ならそれくらい出来るんでしょ?」
怯えるスー君を、怖がらせない様に、なるべく優しい声で話しかける。
すると、スー君は、
「ありがとう。でも、大丈夫。僕は、まおーさまの最後を見届ける。って、ブロナー様とお約束したんだ。だから、大丈夫」
と、キリリとした表情を浮かべながら、しっかりとした口調で、ハッキリとそう言った。
スー君の成長っぷりに、場違いにも僕は少し、感激してしまった。
もしかして、小さい子が見たらトラウマになりそうな光景になってますかね?グロ注意をつけた方が良かったのでしょうか?うむむ。
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もこの時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します。