二百六十五話目 配下達は何処へ消えた?
12月18日の更新です。
少しいつもより短めなのですが、きりが良かったので、そのまま上げさせて頂きました。
本日も宜しくお願い致します
「いないよ?」
黒スーに体を預けながら、魔王はニコニコとそう答えた。
これは流石に黒スーも意味が分からなかった様で、魔王の体を支えながら背中を擦っていた手を止めて、不思議そうな顔をしている。
「いない、とは?」
それに対し、シルビアーナも怪訝な顔をしながら、更に魔王に問いかけた。
「ん?そのままの意味だよ?現魔王の配下は、ここに居るイチのみさ」
「陛下?」
「あぁ、イチにも言ってなかったかな?彼等には、僕が女神に喧嘩を吹っ掛ける為の力にさせてもらったよ。皆快く僕の糧になってくれた。フフフありがたい事だね?」
そう言いながら、魔王はキョトンとしていた、イチこと黒スーの頭を優しく撫でた。
黒スーはウットリした様に目を細め、
「おぉ。そうですか…。それは皆、一番名誉な仕事を成し遂げたのですね?何と羨ましい」
と、どこか誇らしげに呟く。
しかし、魔族やこの世界の人達の常識的には有りなのかもしれないけど、僕ら現代っ子からしたらやっぱりこの状況は
異常な訳で…。
「って事は、魔王は配下全員分の魂を喰った。って事か?」
「状況的に、そうなのでしょう。魔族は魂を吸収する事でパワーアップする。と聞いた事がありますし、その為には、一般的なヒューマン種の魂を1つ取り込むよりも、魔族の戦士の魂を1つ取り込んだ方が効率的にも良さそうですからね?」
ブルリと震えながら、宇美彦が吐き出す様に呟いた。
こんな時はいつも饒舌な月島さんでさえ、少し顔を青くしながら自分の考えを語っている。
って事は、魔王にとってみれば配下の魔族達の命なんて、コローレのご飯と同じくらいの価値しかないのかな?
だって、要は大した役にも立たないなら、私の栄養にでもなって貢献しろ!って事でしょ?
黒スーも、そんな魔王に怒るでも憤るでも無く、仲間達は名誉ある仕事を成し遂げた!何て喜んでいるし、やっぱり僕達と彼等では価値観が違うらしい。いや、違いすぎて、ちょっと比べる事すら難しいよ。
「でもーーー」
ん?
続く魔王の声に、意識が思考の海から引き戻される。
魔王は黒スーにニッコリと微笑みながらこう言った。
「でも、やっぱり雑魚は雑魚だね?今ので力を使いきったよ。だから、イチ、君をちょうだい?」
背中がゾクリと震えた。
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまた18時頃に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します