二百六十四話目 復活
12月16日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「何であいつ、そんなに燃費が悪いんだ?」
ここまで黙って聞いていた魔王が、不意に呟いた。
そんな事僕に言われても分からないので、ここは正直に
「さぁ?理由なんか知らないけど、奴が大飯食らいなのは事実だね。僕は、そんな奴が魔法に武術に、って使いまくりの動きまくり何かしたら、すぐにお腹へって動けなくなる。そう思っただけだよ?」
と、答えてやる。
魔王は一瞬思案顔をしたが、すぐに顔を上げると、また胡散臭い笑顔を僕へと向けた。
顔がなまじっか整っているだけに、胡散臭さが二割増しって感じだ。
「そう、か…。いや、貴重な解説をありがとう。でも、僕はまだ納得いかなーーー」
意外にも【ありがとう】が言える魔王闇鍋の声が、途中から不自然に途切れた。
それは何でか?と、言うと……。
「そうか?私は理由を聞いて、ストンと腑に落ちたぞ?」
そう、すっかり元気になったシルビアーナが、後ろから手を伸ばし、後頭部をギリギリと掴んでいるからだ。
所謂逆アイアンクローって感じかな?モクモクと煙る塵の中から腕がヌッと伸びてくるのは、誰の腕か分かっててもビックリした。
「フンッ。急に体に力が入らなくなった理由が分かってスッキリしたよ。シエロ、ありがとう」
「どう致しまして」
「さぁ、魔王闇鍋よ!さっきの続きと行こうではないか!!」
「~~~~~~!?」
◆ しかし魔王はあまりの痛さに悶絶している。
ゲームとかなら、きっとこんなテロップが出るところかな?
魔王はもがくだけで、シルビアーナに返事を返す余裕も無い様だ。
「フハハハハハハハハ!さっきまでの威勢の良さはどうしたのだ?」
「グゥ、ウウウウウ~」
シルビアーナは、片腕だけで魔王の体を自身の顔の上より高く持ち上げると、そう高笑いしながら大きな声で問いかけた。
魔王は呻き声をあげはするものの、まともな返事すら返せない様だ。
無理もない。後頭部を鷲掴まれて、そのまま持ち上げられてるんだ。軌道が変な感じに塞がれてしまっているんだろう。
……あのままいけば窒息とかしないかな?
………………あれ?
「って!違う違う!?それじゃあシルビアーナの方が魔王みたいじゃんか!?」
「む?そう言うものか?」
ふと我に返った僕が慌ててそう叫ぶと、シルビアーナはあれ?みたいな微妙な顔をしながら、魔王の後頭部から手を離した。
そこは自分で気がついて欲しかったけど、まぁ仕方無い。……のか?
《ゴトンッ》
「グッ!?」
急に手を離された魔王が、重力に逆らわず床に落ちる。
受け身も取れずに床に転がった魔王は、暫くそのまま悶えていた。
うわ~。痛そう…。
魔王シルビアーナ。って展開も面白かったですかね(笑)
さて本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も18時頃に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します。