二百六十二話目 誤算?
12月14日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
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《side:シエロ》
「あ……」
スカーレットの気の抜けた様な声が聞こえた。
僕の前には、目を真ん丸に開いたシルビアーナ。
《ドパゥッ》
驚いた表情のシルビアーナに、僕の放った光魔法が直撃した。
魔法が直撃した反動で、部屋に散らばっていた塵芥が舞い上がり、辺りが白い煙で染まる。
「姉さん!?」
『う、そ…』
呆然と膝から崩れ落ちるスカーレットと、その肩に乗っていたブロナーの口から、悲鳴じみた声が漏れ出した。
シルビアーナからの返答は、無い。
「ククク。アッハッハッハッハッ!これは凄いね?僕を狙ったんだろうけど、当たったのは君達を守ろうと奮闘していたくそ女だ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!こりゃ傑作だ!最高のバットエンドじゃないか!?」
力無く項垂れる女神2人を見下ろしながら、魔王は1人、高笑いを続ける。
周りの皆も、僕を責めたりはしないものの、絶望の色を濃くしていた。
あぁ!僕のせいだ!!
…………何てね?
「楽しそうなところ悪いんだけどさ、僕は最初から、あんたに当てよう。だなんて思っちゃいないよ?」
「は?」
僕の言葉を受けて、魔王が短く返事を返してきた。
笑いを噛み殺しながらのその態度が、妙に腹立たしい。
「いやいやいや。君、何言ってんの?あっ、もしかして、自分達の味方である女神を攻撃してしまった。って事が、受け入れられないのかな?うんうん。君の気持ちは分かるよ?でもね?君のやっちゃった事は~、取り返しのつかない、最低最悪の悪手でしかない訳だよ?ん?分かるかな?」
かと思えば、饒舌に語りだした。
何だこいつ?情緒不安定男君ですか?
「何だこいつ?情緒不安定男君ですか?」
「はい?」
「おっと。つい心の声が漏れちゃった」
ついつい漏れてしまった僕の心の声に、魔王の顔が面白いくらいひきつる。
僕は今、何故か魔王との距離的に、最前列にあたる場所に居る為、裕翔さん達の姿は僕からでは見えないけど、皆、あの魔王の間抜け面見てどんな顔してんだろうね?
「シエロ君!君、心の声ダダ漏れだからね!?全部自分の口から漏れてるよ!?って言うか、皆呆れてますけど!!」
「あれ?漏れてました?まぁ、いいや。ダダ漏れついでに魔王闇鍋よ、貴様に教えてやろう!」
「君は何様キャラなんだよ!?」
「……」
「無視すんなよ!?」
いや、無視するっしょ?
フッフッフーン♪だってさ、裕翔さん達が呆れてるだけだ。ってんならこっちのものだし~。
え?全部ひっくるめて呆れられてる?
まぁ。それもいつもの事だし。オールOKっしょ?
「僕がさっきぶっ放したあの光魔法は「だから、僕を無視するな!?」、コローレのご飯だ!」
「聞けよ!?……っ。今、何て言った?」
魔王の間抜け面が、ふと素面に戻る。
ちぇっ。つまんないの。
「そのままの意味だよ?あれは、コローレのご飯!分かりやすく言えば、超高濃度の光の魔力」
そう、僕がシルビアーナに撃ち込んだのは、誤算じゃなくてご飯なのだ!!
…………あれ?誰も座布団くれないの?
あっ、12日に森○ダー○食べるの忘れてました。
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も18時頃に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します