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二百六十一話目 魔王VS女神⑤


12月13日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



 魔王はその長くて黒い爪を、猫の様に出し入れ出来る様だ。


 時には拳で、時には爪で襲い来る魔王の素早くも重い攻撃に、私は次第に壁際まで追い詰められていった。



《ダンッ》



「くっ!」



 背中に生じた堅い感覚に、思わず声を出せば、私の後ろには不自然な切れ目の入った壁があった。


 そして、視線を前方へと戻せば、目の前には魔王。奴は自身の黒い爪を、今正に、私の首へ突き立てようとしているところだった。


 咄嗟にその腕を掴み、そうはさせまいともがくが、下から上へ押し上げるよりも、上から体重をかけて押される方が力が入りやすい為、私は徐々に押されていった。


 みるみる間に、魔王の爪が私の首へと近づいていく。



 マズイ!



 何故か力が入らぬコローレ(息子)の体に渇をいれ、私は更にもがいた。



「シルビアーナ様!!」



 するとそんな時、そんな不甲斐ない私を見て心配してくれたのだろう。


 ユートの切羽詰まった様な声が、私の耳に届いた。




「来るなっ!今、来られても、君達を守り、きれん!」



 彼の声を聞いて、あれだけの魔物を退けられたか。と、ホッとした半面。彼等をこれ以上巻き込む訳にはいかない。と、声を張り上げる。


 ここまで巻き込んでしまっておいて、何て勝手な言い分だ。等と魔王辺りなら言うだろうが、私の矜持に賭けても、彼等をこれ以上傷つけたくなかった。




「しかし!」



 更にユートの声が響く。


 魔王の体の隙間からユートの姿を覗き見る。


 そこには拳を握りしめながら、唇を噛みしめているユートの姿があった。



 あぁ、こんなにも自分勝手な私を、ユートは心配してくれた。



 姉様の事を隠し、利用した私達に、いや、私をここまで心配し、優しい声をかけてくれた。


 それだけで充分だ。


 救われる思いを心に秘めながら、私は彼等の為にも、必ず勝たなくてはいけない。


 そう、気持ちを新たにする事が出来た。





「お涙頂戴のお話しは終わったかな?」



 ユートの言葉を噛みしめていると、頭上から魔王の声が降ってきた。


 意外にも律儀に待ってくれるものなのだな?等と考えながら、声のした方を睨み付ける。


 すると、そこには【胸糞悪い】と言う感情を隠そうともせず、苦虫を噛みしめた様な顔をした魔王が居た。




「あぁ、終わったとも。しかし、これ以上待たせると勇者が此方に飛んできそうだからな。さっさと終わらせ様ではない、か!」



 話を切り上げるなり、私は魔王の腹を思いっきり蹴り上げた。


 膝では無く、足の裏を使い、これでもか!と蹴り上げる。



 すると、魔王はいとも簡単に、ポーンと宙に投げられた。



 はて?



 予想よりも簡単に飛ばされてくれた魔王の態度に首を傾げていると、空中の魔王が、またニヤリといやらしく笑う。



 一体なんだと言うのだ?


 と、私が首を傾げた次の瞬間。



「!?」



 光の渦が、私を襲った。




直☆撃!


さて、本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します


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