二百六十話目 魔王VS女神④
12月12日
森○ダー○の日の日の更新です。
本日も宜しくお願い致します。
因みに私はビターが好きです。
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《side:シルビアーナ》
《ドガンッ》
「うわぁっ!?」
何かが倒れた様な音と、ユートの叫び声にも似た声に驚き、私は一瞬魔王から視線を逸らした。
視線の先では、部屋の四隅の壁に切れ込みが入っているのだ見てとれた。どうやら、その内の3ヶ所の壁が仕掛け扉の様に開き、その中から魔物が溢れ出てきている様だ。
早く助けに!とも思ったが、流石に魔王を相手にそれは無理だと悟った私は、勇者達の事を2人の妹達に任せ、魔王へと向き直った。
すると魔王はニヤニヤ笑っていた。視線の先は、私と同じくユートやシエロ達の方だ。
「貴様、何がおかしい?」
私がそう問いかけると、魔王は
「いや、あんまり可愛く泣いてくれたから、何だか僕まで嬉しくなっただけだよ?」
等と戯れ言を吐きながら、悦に入った顔で更に笑った。
「この下衆が!」
「何とでも?」
私が打ち込んだ拳を、いとも簡単にかわしながら、魔王はまた更にニヤリと笑う。
まぐれ…。では無さそうだな。
「やはり今までのは全て演技か?貴様、私をおちょくるのも大概にしろ!!」
「おちょくる?まさか。戦女神の貴女に攻撃されて、余裕何かありゃしないよ?フフフ。まぁ?これで背後からの攻撃を気にしなくて済むから、貴女との戦いに全神経を集中させられるけどね?」
私が威圧を込めてそう告げると、魔王は飄々と私の威圧を涼しい顔で受け流した。
クソッ。あのニヤケ顔には腹が立つ。
「……イチ?」
すると、魔王はニヤケ顔を、スッと真面目なそれに戻すと、自身の部下である、人工生命体の【イチ】を自身の側へと呼び寄せた。
「はっ。ここに」
呼ばれたイチは、今までずっと魔王の側へ居た。とでも言う様に、直ぐ様私と魔王の間に現れると、そのまま流れる様な動作で跪く。
魔王はそれに満足そうに頷くと、
「ゴブやミノ達を君に預けるよ?彼等と遊んであげなさい」
と、イチに命令を下した。
「はっ!」
命令を受けたイチは、そう短い返事を魔王へ返すと、立ち上がりもせずに、スーっと闇の中へと溶け込む様に姿を消した。
ほう。空間属性と闇属性魔法の混合術か…。無詠唱に加え、あの流れる様な魔法の行使。フム。出来るな。
「……!?」
等と消えたイチについて考察していると、急に魔王が私の顔めがけ、何かを突き出して来た。
魔王の不意討ちには充分注意していた筈だが、魔王は私の警戒をいとも簡単にすり抜けて攻撃してきたのだ。
私も慌ててガードして避けたのだが、魔王が私に向けて突き出して来たのは奴の爪で、避けられたのが分かると、揃えていた指を広げ、引っ掻く様に手を上下に動かし始めた。
「くっ!?」
「あんまりよそ見をするなよ?寂しいじゃないか?」
「戯れ言を!」
黒くて長い爪が私の、と言うかコローレの衣服や皮膚を引き裂いていく。
ニヤニヤと笑いながら猛攻撃を繰り返す魔王に、今度は私が防戦する番となった。
シルビアーナ目線で書くと、どうしても文章が固くなっていけませんね。
さて、本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまた同じ時間に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します