二百五十八話目 魔王軍との戦い②
12月10日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
ミノタウロスに攻撃したら、何故か囲まれたでござる。
対して、亜栖実さんは遠巻きに攻撃されてはいるものの、僕みたいにグルッと周囲を囲まれてはいないし、他のメンバーにもそんな人はいないみたいだ。
え?じゃあ何で僕だけこんなにミノタウロスに囲まれてんの?
……何て不思議に思った事が僕にもありました。
良く良くミノタウロスの顔を見てみれば、牛のくせに鼻の下をビローンと伸ばし、お前から行けよ!いや、お前から行けよ!何て、思春期の中学生か高校生が海でナンパする順番を譲り合ってるみたいな、アホくさい光景が広がっている。
いくら鈍ちんな僕だって、あんなのを見せつけられれば、幾らなんでも察せるよ!ってなもんだ。
僕は、勝手に怒りにうち震える拳をなだめながら、そんなミノタウロス達に向けて手のひらを向けた。
『ブモッ?』
『ブモモ~♪』
いや、何でお前僕に向けた手を差し出して来てんだよ?
これは、間違っても付き合って下さい!のポーズじゃねーからな!?
「いい加減にしろよ?」
『ブモ?』
僕がこめかみに青筋を浮かび上がらせながら呟いた言葉は、どうやら彼等には届かなかった様で、可愛くもない面で首を傾げられたけど、そんな事はまぁ、この際どうでもいい。
「き・え・ろ♪」
《キィィィイーーーン》
『ブモッ!?』
『ブモモモモ!!』
今更慌てて逃げ出そうとしても、もう遅い。
僕は、さっき黒スーに放った脅し様の光の玉何かじゃない、殺傷能力をゴリゴリ含んだ光の玉を手の中で集約させると、慌てふためくミノタウロスの群れの中心目掛けてぶっぱなした。
次の瞬間。
『『『ブモォオオオオオーーー!?』』』
ミノタウロスの中心に落ちた光の玉は、床に接触するなり爆ぜて、その周囲に居たミノタウロス達は、断末魔みたいな叫び声をあげながら、クルクルと天井へ向けて吹き飛ばされる。
ビタンビタン。と、決して美しいとは言えないサウンドを辺りに響かせながら天井の模様となっていくミノタウロス。
一部の運の良い奴等は、天井に魔王とシルビアーナが開けて広げた場所から、上の階に無事着地したみたいだけど、なんちゃってスタングレネードと化した光の玉の中に、光魔法とは別に、風の刃を仕込んでおいたから、着地は出来たとしても無事では済むまい。
フフフ。我ながらえげつない兵器を作ってしまったな。
うん。念の為、これ以上使用するのは止めておこう。
下手したら無差別破壊兵器になりかねん。
「いや、充分無差別破壊兵器だったよ?」
「シエロ君、僕らの周りに居た魔物も大分一緒に吹き飛んだけど、何やらかしたのーー!?」
僕の隣に居た裕翔さんが、疲れた様な声を出し、ちょっと離れたところに居た亜栖実さんは何故か目を輝かせながら、こちらへ向けて手を振っている。
周りを見れば、ミノタウロスだけでは無くて、ゴブリンやサーペントタイガー達もゴロゴロ地べたに横たわっていた。
これはもしかして、仲間が無事だったのは奇跡でした。
って後からインタビューされちゃうパターンのやつですか?
えっ、えーと。やっ、やり過ぎちゃった☆
スタングレネードに殺傷能力を持たせたら、最早テロリストの所業ですよね(笑)
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します