二百五十四話目 魔王VS女神①
12月4日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
《ズガガガガガガガガ、バキィッ!メキメキメキ》
けたたましい音を立てながら、シルビアーナと魔王の戦いは続いている。
さっきまで、魔王はコローレを相手に速さ重視の戦いを繰り広げていたから、僕くらいの半端な戦闘力しかない凡人には目ですら追うことが難しかったけど、対シルビアーナ戦では、魔王はその速さを捨てて、一転パワー勝負に持ち込みたい様だ。
お蔭で僕でも追える速さにはなったけど、その分部屋が壊れるのも早い。
殴れば壁が吹き飛び、床を蹴れば、床石が粉々に割れて見るも無惨な姿となっていた。
今にも天井が抜けそうで、あちらこちらにヒビが入っているのが怖い。
「くらえっ!」
《ガガガガガガガ》
魔王が元床石を蹴り上げる。
まるでサッカーボールみたいに軽~く蹴られた筈の石は、ものスゴい速さと勢いでシルビアーナ目掛けて飛んでいった。
このままではシルビアーナにぶつかってしまう!と、僕が目を瞑りそうになった。そんな時…。
「フン。子供だましだな…。はっ!」
《ジュウッ》
シルビアーナが手のひらを突き出す様に前に出すと、飛んできた石…。と言うか最早岩?な、元床石を、鼻で笑いながら消しさった。
彼女が石を消す時、一瞬手のひらが赤くなった様に見えたけど、僕にはそれしか分からなかった。何したら石が蒸発するみたいに消えるんだよ!?
「えっ?」
余りに非常識な光景に、思わず声が漏れる。周りを見れば、皆似たり寄ったりな顔をしていた。
ビックリしているのが僕だけじゃなかったとは言え、これでは誰も答えに辿り着く事は出来ないよね?
未だ何が起こったのかちんぷんかんぷんな事には変わりはなく、皆でポカンとしていると、僕の隣に居たスカーレット(IN風華)が、
「ウフフ。ねーねーシエロ君?あれはね?高温の光の玉よ?さっき貴方が【イチ】って子に放ったアレと同じものなの」
と、ちょっと鼻の穴を膨らませながら僕に教えてくれた。
しかし、本当にあの石は蒸発してたのか…。
もう、どこに驚いたら良いのか分からないや。
「えっ!?アレが光の玉!?」
「マジか。シルビアーナ様やべぇな…。」
唖然としていた僕より先に、亜栖実さんと葵君が食いついた。
うんうん。やっぱり2人はこうでないとね?
2人はポカーンと口を開けたまま、シルビアーナと闇鍋さんの戦いを観戦する方へと戻る。
うん。もう何か色々麻痺しちゃって、何て答えたら良いか分からないや。
《ズガーン!》
あっ、遂に天井が抜けた。
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