二百五十二話目 アナスタシアとカイン
12月2日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
スカーレットが僕に向かって放った言葉に、何故か魔王が驚いた。
なんのこっちゃ?
「やっぱりあの学園にアナスタシア様はいらしたのだな…」
苦々しい表情を隠すこともせず、魔王闇鍋はシルビアーナに低い声で問いかけた。
今にも飛び掛かってきそうな野良犬みたいに背中を丸め、下から睨みつけている様がとても怖い。
そんな魔王に向かってシルビアーナは
「フッ。貴様が驚くのも無理は無い。そうだ!聖ホルド学園こそ、姉様とカイン君を隠す為の場所なのだ。貴様にバレぬ様に工作するのは骨が折れたぞ?」
と、強気な感じで更に返した。
「クソッ!じゃあ、あの時潜入した部下があっさり倒されたのも、お前らの仕業か!!」
「あ、いや、あれは…」
が、シルビアーナに向かって魔王がそう怒鳴り付けると、その態度は一転。何故かシルビアーナだけじゃなく、スカーレットまですごい微妙~な表情になった。
目は右から左からフラフラし、チラチラと此方を見てくる。
ブロナーですら無表情に此方を見つめてくるので、スゴく不気味な感じだ。
あ、ブロナーは元々か。
って!いやいや、そうじゃなくて、え?本当に何なの?
こっちだって、いきなり理事長先生が女神と元農民だ。とか言われて、驚きすぎて顎が外れそうなんだから、これ以上の爆弾発言はご遠慮頂きたいんですけど?
「何だよ?僕をバカにしてんのか?」
シルビアーナ達のそんな態度に、魔王は苛々全開でそう返す。
うん。僕だってこんな態度取られたらイラッ☆っとするよ。
「いや、別に貴様を馬鹿にしたつもりは無い。貴様の言うアレに関しては、その…。彼が犯人だ」
「ん?」
「ん?」
シルビアーナが何故か僕を指差している。
苛々全開だった魔王までキョトンとしているけど、たぶん僕が一番意味が分かってない気がするよ?
えっ、と…。どういう事?
疑問に満ち満ちた顔を、三柱の女神達に向ける。たぶん僕の心の中は筒抜けなんだから、わざわざ口に出すこともしなかった。
けど、そんな僕の気持ちを正しく汲み取ってくれたブロナーが、
『シエロ、君。闇鍋が、言っているのは、【イペット・アモイ】の件だ、と思う』
と、スカーレットの肩から僕の肩にフワリと飛び乗りながら教えてくれた。
「【ゾルフ・スティンガー】の件も含んでいるだろう。どちらにせよ、君が学園に在籍している間に倒した、もしくは退けた相手だ。どちらも魔王が学園を探る為に送り込んだ相手で…。どうした?」
次いで、シルビアーナもそう付け足してくれたんだけど、その時出てきた名前に、僕の頭は急に痛みだした。
今までゾルフに関わるとろくな事にならなかったから、僕の体が自然に拒否反応を起こしたみたいだね☆
笑えね~。
久しぶりにゾルフ(名前だけ)が登場です(笑)
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明日もこの時間に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します