二百五十一話目 女神達の反論
12月1日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「あっ、あれ?」
「僕は一体どうしていたのでしょうか?」
ガバッと宇美彦と月島さんが飛び起きる。
自分の顔や胸の辺りを触りながら、これまた不思議そうな表情を浮かべる2人に、ホッと胸を撫で下ろしていると、
「チッ」
と、小さく舌打ちが聞こえた。
見れば、魔王が心底悔しい!と言った顔をして、こちらを、いや、姿形は違うが、三柱揃った女神を睨み付けていた。
「まぁ、よくもあれだけデタラメな話がスラスラ出てくるものよね?貴方、物書きの方が向いてるんじゃない?」
『同、感…』
呆れた顔のスカーレットがそんな事を言えば、スカーレットの肩に乗ったブロナーが、小さく返事を返す。
「デタラメ?デタラメ何かじゃないさ!お前らが女神様を、アナスタシア様を見捨てなければ、あの方は邪神何て穢れた存在にもならず、ナツヒコ様だって死なずに済んだのに!」
すると、そんな二柱の女神に、憎悪剥き出しの魔王が噛みついた。
もたれ掛かっていた柱から離れ、また殺気やら負のオーラやらが撒き散らされる。
余りにも殺意や憎悪が剥き出しなので、少しでも力を抜けば、それだけで気分が悪くなって倒れそうだ。
『あれ、は、私達にも、予想外の出来事、だった。まさか、カイン君が勇者として、覚醒するなんて、思っても、いなかった…』
「そうそう!あれには驚いちゃった!!」
「それでも、だ。君達に我が姉様の事を黙っていたのは事実。改めて御詫びをしよう。申し訳無かった」
そう言って、シルビアーナはコローレの姿のまま、深々と僕達に向かい頭を下げた。
魔王はその後ろで、親指の爪をガリガリ噛みながら、そんなシルビアーナの姿を更に睨み付けている。
「この偽善者が」
そして、吐き捨てる様に呟く。
……って言うか、ちょっと待って欲しい。
今魔王は【アナスタシア】と、邪神、もとい始まりの女神の名を呼称した。
んで、始まりの女神が恋をした。って言う農家の次男坊らしき人の名前を、ブロナーが【カイン】と呼んだんだけど…。
あれ?何だか僕、スッゴい聞き覚えがある気がする~?
「そりゃそうよ。貴方の通ってた学校の理事長だもの」
「ぎょわっ!?」
急に振り向きながら人の心を読まないで欲しい。
頭を捻ってる時に急に振り向かれて、つっこまれたもんだから、変な声が出ちゃったじゃないか!!
「!?」
ん?何で魔王がビックリしてんの?
ビックリしたのは僕の方だってーの!
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