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二百四十五話目 魔王と魔物


11月22日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「生息地が全く違う魔物が突然、街や村の近くに現れた。何て話を聞いた事はないかい?」


「それが?」


 魔王の言葉を受けて、裕翔さんは片眉をピクリとあげながら答える。


 他のメンバーが僕を含めて黙ったまま魔王を見ているのは、皆何処かしらに心当たりがあったからだろう。


 僕も街の近くに突然現れた魔物と対峙した事は何度かあるし、ジェイド君と一緒の時に出会したサーペントタイガーや、僕がまだ学生の時に兄さん達が襲われた。って言うドラゴンだってそうだ。


 でもそれはーー。


「それはあんたがけしかけたからじゃないのか?女神達のせいにして、俺達を動揺させ様って魂胆だろ?そうはいかないぜ!?」


 葵君が魔王に噛み付くみたいに声を出した。


 でも、それは僕も思った事だ。うんうん。と頷きながら、ようやく近付けた宇美彦の診察をする。


 魔法をかける前に宇美彦の心音を調べると、少し弱いながらもハッキリと彼の心臓の音が聞こえてきた。


 あっ、良かった。生きてた。どうやら意識を奪われただけみたいだね?


 僕は宇美彦が生きていた事にホッと胸を撫で下ろしながら、宇美彦に回復の魔法をかける。


 宇美彦の顔色が戻ったところで魔王を睨み付けると、魔王は葵君を見ながら、フッと鼻で笑っていた。


 何か腹立つな~。


 とか思いながら、魔王を睨み付けたままでいると、


「君は僕達の様に人の心がよめるみたいだけれど、人や物の本質は見抜けないのかな?僕にそこまでの力は無いよ?

それに、魔物。何て言われているけど、言ってしまえば彼等は動物や君達と何ら変わらない生き物だ。当然作り出したのはあいつら女神達だよ?

極たまに僕の味方をしてくれる子もいるけれど、それは本当に小数で、操ろうにも僕にはそんな技もやり方も分からないんだ。

僕の仲間達の中にいる、魔物と友達になるのが上手い子達に頼んでやってもらう事はあるけどね?

ね?どうだい?僕にそこまでの力がある様に思えたかな?どうだろう?」


 何て続けながら、ん?と馬鹿にしたみたいに魔王は首を傾げた。


 バーっと捲し立てる様に話した魔王に、葵君は少し言葉に詰まったが、


「生憎俺はあんたみたいに長生きしてないからな。でも、あんたらがけしかけてきた魔族達の心の中は、中々にエグい中身だったぜ?そんなあんたらが正義で、女神様達が悪だ。とは、俺は到底思えねぇけどなぁ?」


 と、嫌みを交えながら返していた。


 良いぞ!もっとやっちゃえ葵君!!



「ふふふ。確かに、中にはそんな風に野心に満ち溢れた仲間もいたかもしれないね?でも、どちらか一方だけが【正義】なのだとしたら、そんな世界は終末を迎えた方が良いとは思わないかい?君らの世界の言葉で、【勝てば官軍】何て言葉もあるみたいだけど、それぞれが正義を掲げて戦っても、負ければ悪者扱いだろう?そんなの負けた方が実は正しかった場合どうなるんだい?泣き寝入りするしか無いのかい?」


「それは…」


 更に言葉の反撃を受けた葵君は、今度こそ言葉に詰まり、返答が出来ずに居た。


 聞けば聞くだけ屁理屈にも聞こえるんだけど、魔王の言い分もあながち間違ってもいないから、言葉にするのが難しくなってくるんだ。


 だからこそ、女神に対する不信感みたいなのも、心の中に少しずつ溜まってきていたのかもしれない。



昨日に引き続き、レキシを聞きながら書きました(笑)

GOEMON!GOEMON!!


本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日もまた18時頃に更新致しますので、宜しくお願い致します

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