二百四十一話目 魔王と光の大精霊
11月18日の更新です。
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「コローレ!」
思わず叫んだ僕の視線の先では、コローレが魔王に背中から短剣を突き立てられていた。
ーーー様に見えた。
「何で君がそんなところにいるんだい?」
闇鍋が訝しげな顔で、そう呟く。
「スー君?貴方でしたか。ありがとう、助かりました」
『エヘヘ~♪』
コローレが自身の背中に向けて話しかけると、ひょっこり小さなスー君が彼の背中から姿を現した。
コローレの背中には、いつの間にそこへ貼り付いていたのか、妖精の姿へとチェンジしたスー君が居たのだ。
短剣はそんなスー君の空間魔法により刃物部分と、柄の部分とに綺麗に分断され、床に
《カラン》
と言う、何とも軽い音を出しながら落ちた。
同時にスー君は妖精化を解除し、コローレの背中に張り付いたまま、魔王と対峙している。
チラリと横を見れば、呆気に取られた顔の黒スーがそこに居たので、
《おい、黒スー!何スー君から目を離してんだよ!》
とか思いもしたものの、それを言ったらとんだブーメランだな。と気がついた僕は、そっと口をつぐんだ。
本当にいつの間にスー君はコローレの背中に転移して貼り付いていたんだろうね?
ビックリし過ぎて訳が分からなくなっちゃうよ。
『絶対まおーさまは、ころたんをそうやってこうげきするだろうから、戦いがはじまったらころたんのせなかにはりついているように!って、女神様から言われていたんだよ?』
さて、此処からではスー君の表情まではよく見えないが、たぶん声の感じからしてドヤ顔しているだろう、スー君の弾んだ声が聞こえてくる。
そんなスー君の話を聞いた魔王は、
「またあの女狐共か…。よくもまぁ、こんなろくでもない事ばかり思いつくもんだね」
と顔をしかめながら呟き、そして、やれやれとため息を吐いた。
もう隠す気も無いらしい殺気やら何やらは相変わらずだだ漏れ状態だけれど、この空気感に慣れたのか、
『うふふ~ん!ブロナー様はすごいんだもん!!』
何てスー君はご機嫌に語っている。
やっぱり彼は大物だね☆
「ぶっ、ブロナー様!?」
ん?
ブロナーの名前を出した途端、魔王は目に見えて狼狽え始めた。
コローレからよろめく様にして離れ、天を仰ぐ。
何事か?と様子を伺っていると、魔王は舞台役者宜しく両方の腕を天に向かって突き上げ、
「ブロナー様、何故貴方様が僕の邪魔をなさるのですか!?」
と、金切り声をあげた。
その姿は、親に捨てられた子供の様に悲哀を含んでいた。
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