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二十三話目 初陣④


2月10日の更新です。


本日更新分には、少しグロ注意な文章が含まれています。

本当に少しですが、苦手な方はご注意下さい。

本日も宜しくお願い致します。




 救護所とは名ばかりの、それでもこの街の中では比較的無事な建物の中は、むせかえりそうな程の血の臭いと、人々のうめき声で溢れていた。


 腕が無い人、足が両方とも無くなってしまっている人、息も絶え絶えな人、人、人。


 決して広くは無い建物の中は、何処を見回しても、そんな重傷患者ばかりだった。


 加えて衛生環境は最悪。


 ベッドなんて有る訳も無く、ござや汚い毛布に止血だけされた状態で寝かされている怪我人達。


 こんな所で普通の手当てをしても、傷にばい菌が入ってしまうのは明白だった。


 なんの対処もせずにいたら、破傷風まっしぐらだ。


「思っていたよりも酷いですね…。コローレさん、先ずは誰からいきましょうか?」


「奥から順に重傷者が寝かされております。ですから、その通りに」


「分かりました」


「了解!」


「僕も手伝うよ!!」


 月島さんの問いに答えるコローレの言葉を聞いて、裕翔さんと亜栖実さんが奥へと向かう。


 僕もそれについていくつもりだけど、でもその前に…。


「兵士さん、これを患者さんに使ってください。あまり数はありませんが、軽い傷なら少量患部にかけるだけでも効果があります。殺菌作用もありますので、傷口の消毒も同時に出来ますから。あっ、勿論魔法鞄何で、見た目の量では無いですよ?」


「あっ、ありがとうございます!!ありがたく、ちゅ…。使わせていただきます!!」


 あっ、噛んだ。


 何で僕が話しかけたくらいで噛むんだ?


 まぁ、いいか。と、思いっきり噛んだ若い兵士さんに、見た目は巾着だけど、薬瓶が大量に入った魔法鞄を渡す。


 最近暇すぎて、レベル上げの為に作っては入れ作っては入れを繰り返してたから正確な数は分からないけど、それでも結構な数が入ってるはずだ。少しは役に立つだろう。


「こっちは傷薬と体力回復薬。それに増血剤が入っています。宜しければお役立て下さい」


「ありがとうございます!必ずや、このご恩に応えましょう!!」


 そして、噛んだ兵士さんの隣に居た、熊みたいな髭面の兵士さんにもう1つの魔法鞄を渡すと、僕は裕翔さんの方へと駆け出した。


 急いでたから必要最低限の説明しか出来なかったけど、受け取ってくれた兵士さん2人は、凄いやる気を見せてくれたから、たぶん役立ててくれるだろう。



 背後から、「俺はやるぞぉぉぉ!!」的な声が聞こえる気がするけど、たぶん気のせいだ。うん。



 ……シャドに頼んで今の内から変身しておこうかな?



ーーーーーー

ーーー



「はい。これでおしまいです。傷は治りましたが、暫く安静にしていて下さいね?」


「おぉ、痛くない…。ありがとうございます」


 おじいさんを自分が持ってきていたシーツと毛布の上に寝かせ、更に毛布をかけて簡易の布団代わりに使ってもらう。


 よし、これで僕の担当分はおしまいかな?


 周りを見渡せば、さっきまで響いていたうめき声は消え、寝息に変わっていた。


 さっき薬を渡した兵士さん達も、ホッとした様な顔をしている。


「ふぅ…」


 裕翔さんは、重体の患者さんを僕が治したのを見るや否や、此処はまかせる!と救護所から出ていってしまった。


 月島さんが言うには、たぶん作戦本部で打ち合わせをしているのだろう。との事だった。


 亜栖実さんもその後をすぐ追いかけて行ったから、僕は月島さんとコローレ、そして、僕の精霊達の力も借りて、怪我人の治療に専念していた。と言う訳です。


「シエロ君、お疲れ様でした。魔力や体力は大丈夫ですか?少し、休憩致しましょう」


「月島さんもお疲れ様です。魔力の量だけは自信があるので何とか大丈夫ですよ?それに、今日は魔力回復薬も持ってきましたから」


 入り口側から、月島さんが歩いてくる。


 軽傷の患者さんとは言え、一番多くの患者さんを担当していたと言うのに、月島さんは笑顔で僕を労ってくれた。


 そんな月島さんにも魔力回復薬を渡して、ちょっと一息吐い…。


「えっ!?」


 換気の為に窓を開けていた風華が叫んだ。




本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もこの時間に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します!

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