二百四十話目 魔王と光の精霊
11月17日の更新です。
2日もお休みさせて頂いてすいませんでした。
また本日から再開させて頂きますので、宜しくお願い致します
お名前が《闇鍋》さんだと発覚した魔王の部下、黒スーと、うちの精霊ズが睨み合う中、僕は1人笑いを噛み殺していた。
何故なら。
「ラング・ドシャ!君は考えた事が無いのかい?どうして人は死ぬのか?永遠に生きられる僕達が何故、愛する者達と離ればなれにならなければならないのかを!」
「いいや!闇鍋、貴様こそ考えた事は無いのか?永遠の命等、所詮はまやかしだと言う事を!命はいつか終わる。だからこそ、尊いのではないか!!」
話してる会話の内容自体はまじめ~な感じなのに、何か名前のせいで、さぁ。ねぇ?
さて、話を戻すと、今、そんな闇鍋さんこと魔王と、ラング・ドシャさんことコローレは、あんな風に話しながらも、だだっ広い魔王の部屋全部を使った、縦横無尽な動きで戦いを繰り広げていた。
右脇腹辺りから魔王が取り出した短剣で、十字を斬るような鋭い斬撃を繰り出せば、コローレは髪を数本犠牲にしながらも避ける。そして、避け様に一発、ラ○トセ○バーみたいな光の剣を作り出して刺突を放つ。
更に魔王が飛び上がれば、コローレもすぐにその後を追い、天井を足場に短剣対光の剣の激しい撃ち合いを披露し、力が拮抗すれば剣撃に魔法を絡ませた搦め手を用いたりもしている様だ。
様だ。なのは、余りに2人のスピードが速すぎて、目だけでは追い付けなかった場面がいくつかあるから。
まぁ、チラチラ月島さんの加減とか、ちょっと離れてしまった皆との様子が気になって目線を外しちゃったから余計に分からなくなった。ってのもあるにはあるんだけど、たぶんそうじゃなくても途中で観戦するのは諦めてた気がする。
そんなレベルの戦いだった。
あっ、名誉の為に言っておくけど、裕翔さんはちゃんと見えてるっぽいよ?
光や音が動く前に目線が移っていくし、さりげなく動いて魔王やコローレのとばっちりを月島さんがうけたりしない様に、きっちり守ってる事からも、絶対裕翔さんはあの2人の戦いを目で追えているんだと思う。
あっ!
《ガキン!》
「ふふ」
魔王が玉座まで等間隔で続いていた柱の一本を、まるでバターをナイフで切るみたいに短剣で切り裂いて蹴りあげた!
んで、それをコローレが避けた!
「あぁっ!」
コローレが避けた柱が裕翔さんの方へ飛んでいく。
「うわっ!ととと……」
《シュッ!ズドン!ズシーン!!》
思わず声を出した僕に対し、裕翔さんも驚いた様な声は出したものの、自身へ向けて飛んできた巨大な柱の一部を、剣で左右に分断する事で、難を逃れていた。
左右に分断された柱だったものは、そのまま勢い良く裕翔さん達のいる側の壁まで飛んでいき、そして、壁に激突して粉々になって落ちる。
冷や汗を拭う裕翔さんに、ホッとため息を吐いた。
ふぅ。無事で良かった。
《ガギャギャギャ》
《ズガガガガガガ》
《ガガキーン!!》
おっと!
僕が余所見をしている間にも戦いは続いていた訳で…。彼方此方から金属同士がぶつかる音が響き渡っている。
光が弾け、火花が散り、足場にされた天井や床が砕け散る。
そうして、段々とこの部屋のどこにも安全地帯が無くなりそうになった頃、魔王が動いた。
「ふふふ。流石に鈍ってはいない様だね?でも、これはどうかな?」
言うなり、魔王の姿がコローレの前からフッと消える。
「何っ!?」
急に目の前から敵が消えたコローレは狼狽える。
そしてーー
「古典的な技に引っ掛かってくれてありがとう。やっぱり君は頭が固いねぇ?」
コローレの背後にスッと現れた魔王はにこやかに笑いながら、無防備なコローレの背中に自身の短剣を突き立てた。
魔王と光の大精霊の戦い。と書けば、普通は壮大な戦い!と言った感じになる筈なのですが、我が家の魔王と光の大精霊は闇鍋とラングドシャなので、字面だけで見ると夕飯とデザートかな?くらいの扱いになるから不思議ですね?(´・ω・`)
さて、本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日も18時頃に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します