二百三十七話目 魔王の狂気
11月12日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「ふふふ。そんなに恐がらずとも良いじゃないか。いくら僕だって、わざわざ呼び出した相手を問答無用で殺したりはしないさ♪ふふ。嫌ならそこのカベルネのコピー君に探られている時から拒絶するでしょう?」
「!」
その子、と指を指す魔王に怯える様に、スー君は裕翔さんの影に隠れる。
「じゃあ、アレは?」
尚もニコニコしている魔王に向かい、裕翔さんもスー君を自身の後ろに隠しながら、部屋の片隅にずっと転がっている赤黒い物体を指差した。
殺気や狂気は未だ止まず、ビリビリした空気はそのままなのに、面と向かって普通に魔王に話しかけられる裕翔さんは、やっぱり勇者様だった。
「ん?あぁ、アレ?気にしなくて良いよ。アレは心底役に立たないばかりか、僕に不快な思いばかりさせる役立たずだから」
「って事はやっぱりアレは、元は魔族だった人って事かい?」
「ん~。アレは悪魔だから、ちょっと違うかな?あっ、大丈夫だよ?元々悪魔には体は無用の長物なんだから。今頃魔界にいけばピンピンしているアレに会えるさ。まぁ、僕としては二度と会いたく無い奴ではあるけどね?」
そう言ってアハハ。と声をあげて笑う魔王に、僕らがドン引きしたところで、魔王が椅子から立ち上がった。
今までもビリビリ来ていた、殺気がまた更に強くなる。
「ふふふ。さぁ勇者達、僕の質問に答えてもらうよ?」
「なっ?」
何を?そう裕翔さんは聞きたかったに違いない。けれど、裕翔さんの言葉は他ならぬ魔王によって遮られた。
「先ずは君からだ♪」
「僕、ですか…」
ふわりと玉座から飛んだ魔王は、体重を僕らに感じさせる事なく、月島さんの前に舞い降りた。
魔王が近づいた事でダイレクトに受ける殺気に耐えながら、なんとか月島さんは魔王に返事を返す。念の為なのか、月島さんは自身の杖を構えたまま、魔王と対峙している。
「そう、君だよ?…………ねぇ?君は女神は一体何柱いるか、知ってる?」
「え?3柱では?下界では2柱だと、言う事になっていますが、本当は3柱の筈でーー」
「はい、ハズレ。ざんねーん!」
魔王は月島さんが返した答えを最後まで聞く事無く、
「君は失格だ♪」
何てにこやかに言い放つと、右人指し指を月島さんへ向けた。
「え?」
すると、次の瞬間。
《ビシュッ!》
凄い速さの黒い光が魔王の指先から出てきて、月島さんに襲い掛かったんだ。
月島さんは抵抗すら出来る事無く、後方へと吹き飛ばされて行き、ピクリとも動かなくなった。
「月島さん!?」
慌てて駆け寄ろうとしたが、僕は急に現れた影によって行動を遮られた。
「どけ!」
思わず声を荒げ暴れたが、その影はピクリとも動かない。
それどころか、
「駄目だ。此処より先は何人たりとも通ることは禁止されている」
と、冷静に返されてしまう。
「何を…」
苛立ちながらその影を見上げると、魔王とは逆に口元のみを隠した男が、僕の肩を掴みながら立っていた。
「え?スー君?」
その顔は、スー君そっくりだった。
やった~!やっとイチとスー君が一緒の空間にいるところを出せました~!!
月島は放置されたww
さて、本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もこの時間に更新させて頂きますので、また宜しくお願い致します。