二百三十五話目 今度こそスー君③
11月10日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
《『では次に、転移範囲の限界について、話したいと思う。スペア、君は此処から何処までなら転移出来るかな?』》
宇美彦の肩に乗り、所謂肩車状態のスー君に、シルビアーナが問いかける。
スー君は一瞬キョトン。とした後で、
「んとね?まおーさまの膝の上までならてれぽーとできるよ!!」
「「「「「!!??」」」」」
と、ドヤ顔で凄い事をサラリと言い放った。
爆弾以上の破壊力を持ったスー君の発言に、皆が目を見開いたまま固まる。
勿論僕も皆と同じ顔をしている筈だ。
「すっ、すっ、スー君、それは一体どう言う事かな?」
裕翔さんが狼狽えながらスー君に問いかける。
その姿はえらく挙動不審だ。
スー君…と言うか、宇美彦の側に近づくのに、数メートルしか離れていない距離で3回も転びかけていた。
「とりあえずお前は落ち着け。スー、今のは本当か?」
「ん?うん!僕、嘘つかない!!」
肩の上ではしゃぐスー君に宇美彦が問いかけると、スー君は勢い良く頷きながら肯定する。
確かに裕翔さんは少し落ち着いた方が良い。
「でもスー君、魔王の居る場所何て分かるの?」
「うん!まおーさまのまりょくの形を知ってるから、それをさがせばかんたんだよぉ~?」
「魔王の魔力波何て、何でスーが知ってんだ?」
「ん、僕まおーさまに会ったことある!だから、知ってるんだよ?」
宇美彦の髪の毛をもしゃもしゃ弄くりながら、スー君はそう答えてくれた。
「じっ、じゃあさ、俺達はスー君に頼むだけで、簡単に魔王に会いに行けるって事ですか?」
《『そうだ。何なら今からでも奇襲し放題だぞ?』》
「いや、流石に今からすぐに。と言う訳には行きませんが、でもそうですよね?奇襲も可能になる訳か…。あっ!でもシルビアーナ様、向こうに気づかれたりとかはしないんですか?」
《『勿論そんな事は無い!……と、言いきりたいところではあるが、確約は出来ん。出来れば、この情報が奴等に伝わる前に実行すべきだろうな。盗聴の類いは難しいとは思うが、此処は剣と魔法の世界だ。何処で何が起こっても不思議ではない 』》
「まぁ、そうでしょうね?あっ!スー君、例えば結界、とか張られてたらどうするの?それだと分からないんじゃないかな?」
シルビアーナの言葉を受けて、顎に手をあてながら頷いていた裕翔さんが、急にクルリと此方へ振り返ると、そんな事を言った。
それは確かに気になる。
「 ん?ん~。とりあえず、今は分かるよ? 」
《『ふむ。奴等は隠蔽体質だからな。常に結界の類いは張り巡らせているだろう。今の状態で魔王の居場所が分かるのなら、何も問題は無い様に思われるぞ?』》
「じゃあ……」
《『うむ、今のところ問題無い。後は、君達次第だ。これはチャンスだぞ?なるべく速く、行動に移す事を期待している』》
シルビアーナが、水晶玉越しに力強く頷く。スー君の力を借りて、いよいよ魔王に会いに行く事になりそうだ。
次回、ちょっとヤバイです。
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