二百二十八話目 スー君と誰か
10月30日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「シエロ!!」
誰かと話していたスー君は、その誰かとの話し合いが終わったのか、急に僕の方へタックルを決めてきた。
まぁ、本人にはその気は無かったのかもしれないけど、身長差が20㎝以上ある僕とスー君とでは、やっぱり色々なものが違うわけで…。
「うわぁっ!?」
当然僕は吹き飛ばされた。
そりゃそうだよね?裕翔さんでさえ不意をつかれたとは言え押し倒された訳で…。ましてや僕相手じゃ結果がどうなるか何て、分かりきってるよ。
と、僕は裕翔さんと同じ様に床と仲良くなる事への覚悟を決めたが、宇美彦が助けてくれたので、頭を強かに打ち付ける事も、スー君にのしかかられる事もなかった。
「あ、ありがとう。宇美彦…」
「どういたしまして」
顔を上げてお礼を言うと、いつもの呆れ顔がそこにあった。
「スー。お前、少しは体格差ってやつを考えろよな?こいつの紙装甲じゃ、お前が体当たりしたら吹っ飛ぶぞ?」
「かみそうこ?」
「チビでやせっぽっちって事だ」
「あ~」
「納得しないで!?」
僕は2人を見上げながら、叫んだ。そして、少し泣いた。
ーーー
ーー
「シエロ!これ、スッゴく美味しいね!?」
「それは良かった。おかわりあるから、いつでも言ってね?」
「「おかわり!!」」
「あんたらは少し自重しなさい!!」
さて、少し時間は進んで…。
亜栖実さんとアトラの腹の虫が盛大に鳴り始めたので、一先ず先にお昼ご飯を食べる事になりました。
メニューは煮込めば良いだけ☆のお手軽ビーフシチューと、此方も煮込めば煮込むだけ美味しいすじ肉カレー♪
特にカレーはうちの食いしん坊魔神二大巨頭対策の代物だ。
ゴロンゴロンの野菜や肉をたっぷり入れておいたから、腹持ちも良いだろう。と思って作ったんだけど、既にカレー10人前分が2人の胃袋に格納されていた。
炊き出しレベルで、大鍋3つ分のカレーを予め仕込んでおいて、正解だったかもしれない。
と、僕は本気で考えた。それくらい、今日の2人の食欲はヤバかったのだ。
「うん、分かってるよ?僕、良い子にしてる~♪」
と、不意にスー君がまた誰かと話始めた。
思わず裕翔さんの方を見るが、彼も僕の方を見て驚いた様な顔をしている。
「す、スー君?」
「ん?」
恐る恐る話しかけると、スー君はお口をモグモグさせながら、此方を向いた。
その感じからは、特別不思議なところは無い。スー君は呼ばれたから、向きました。って感じだ。
「あのね?さっきから、誰と話しているのかな~?って思ってさ」
寧ろ僕らの方を不思議そうに見つめてくるスー君に、そうおずおずと訊ねた。
すると、また
「……あっ、そっか。………うんうん。分かった~♪」
と、スー君は誰かと会話をした後で、
「はいっ!どうぞ!」
何て言いながら、満面の笑みを浮かべて、僕に自分の耳の中に入っていた物体を差し出してきた。
その物体はーーーまんまワイヤレスのインカムだった。
カレーは具がゴロゴロしたやつが好きです←聞いてない
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します