二百二十七話目 新たな仲間?
10月29日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
《コンコンコン》
控えめなノックの音は、でもハッキリとリビングに集まっていたメンバー全員の耳に届いた。
「はい!」
扉を開けるの何か誰でも良い筈なのに、何となく裕翔さんが代表して扉へ近付いていく。
「どちら様ですか?」
裕翔さんが声をかけるが、向こうからの返事は
「………」
無。
一気に皆の緊張が高まる。
何せ、魔族がこっそりとは言え、最低でも2回はこの街の中に入り込んでいるのだ。誰もが真面目な顔をして、剣や杖など、自分の武器をいつでも抜ける様な体制を取った。
裕翔さんもそんな皆の姿を見ながら、こっくりと1つ頷くと、ゆっくりと扉を開けーーー。
「ただいまーー!!」
開けた瞬間。裕翔さんは中へ飛び込んできた影に抱きつかれて倒れた。
「裕翔さん!!」
僕は思わず裕翔さんの名前を叫んだ。んだけど、あれ?今何だか変な言葉が聞こえてこなかった?
何か【ただいま】?って言ったような…?
「いたたたた」
「あれれ?ユート?あっ!皆もいた~♪ただいま~」
ゆっくりと体を起こした裕翔さんと共に、倒れたもう1人も一緒に起き上がってきた。
そして、此方に気づいた彼は、とても嬉しそうに僕らに向かって手をブンブン振っている。
うん。せめて裕翔さんから降りてからにしようね?スー君。
そう、扉を開けて、裕翔さんに飛び付いたのは、かつて魔族の一大将を任されていたカベルネ・ソーヴィニオンのスペアとして生を得た、通称スペアのスー君だった。
え?何で誰も裕翔さんやスー君のところまで駆け寄って行かないのかって?
いや、スー君が月から帰ってきた!これだけなら僕だって喜び勇んでスー君に抱きつきに行くさ。何せ…あれ?いつぶりだっけ?
まぁいいか。兎も角、でっかい男が玄関口で2人絡み合って転がっている様を見たら、その気持ちが一気に冷めてしまったのだから、仕方ないと思う。
絵面がエグい事になってるもの。スー君細身とは言え180㎝以上あるし。
《『スー君。ユートから降りてからにしたら?』》
「あっ!そっか!!ごめんね?ユート」
?
誰かの心の声を読んだのか、スー君は慌てて裕翔さんの上から飛び退いた。
よく見れば、スー君は僕達以外の誰かと話しているようにもみえる。
でも、誰だろう?
僕達は首を傾げながら、その【誰か】とスー君が話終わるのを待った。
スー君帰ってきました☆
感動的なシーンの筈なのに、何故こうなった??
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します