二百二十四話目 報告会②
10月26日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
さて、話を戻して。
捕虜の魔族を皆殺しにしたのは誰なのか。
「王国へ攻め込んで来るくらいの技量を持った魔族達が、黙って殺される。って事はさ?犯人はそれ相応の力を持ってる奴だって事でしょ?」
「そうだな」
亜栖実さんに、裕翔さんが肯定する。僕もそれをうんうん。と、頷きながら聞いていた。
え?アトラ?今ネックブリーカーかけて、ダウン奪ったとこ。隣で宇美彦がカウント取ってるよ。
「複数犯って事は?」
「あっ、それは無さそうです」
2人の会話に月島さんが割って入る。
僕は、カウントを3で止めたアトラがかかってきたから、アトラの勢いを借りて、そのままジャーマンスープレックスホールドしたところだ。メシャ。って変な音がしたけど、たぶん気のせい。
「じゃあ、単独犯って事?」
「恐らくはそうでしょう。城には、と言いますか、地下牢のある辺りには魔力を阻害する魔道具と、魔力を探知する魔道具が、張り巡らされる様にして置かれています。複数犯が魔法を使って、どちらにも引っ掛からずに事を起こすのは難しいと思いますよ?」
月島さんはそこまで話終えると、用意してあった紅茶を口に含み、喉を潤した。
ふむ。僕も月島さんの意見には概ね賛成だけど、あの魔道具には1つ、問題点があるんだよね。
「月島さん」
「はい、何でしょう?」
「魔力探知と魔力阻害の魔道具は、最低でも一メートルは離して設置しなければいけないんです。
そして、2つの魔道具の性質上、混ざりあうとそれぞれの魔法によって相殺してしまって、感知も妨害もしないスポットがどうしても出てきてしまうんですよ。
もしかしたら、犯人はそこを狙ったのではないでしょうか?
それなら、犯人が複数でもなんなく入り込める筈です。現に、王宮の中に魔族が入り込んでいた訳ですから、無くは無いと思います」
「なるほど。あの装置には、その様な欠点もあるのですか…確かにそれなら有り得ない話ではなくなってきますね?」
魔道具とて完全ではない。しかし、皆欠点については知らなかった様で、一斉に考え込んでしまった。
あっ、アトラが完全に別な方向で沈黙したので、僕はソファーに戻って冷めてしまった紅茶を一気飲みしたところです。
あっ、宇美彦が介抱してる。大丈夫だよアトラ頑丈だから。
「ふぅ。あっ、裕翔さん」
「ん?」
「魔道具の欠点を打ち消すには、外壁や太い柱の中心にポイントが来る様に調整するのが一番有効なんです。上手く敵を誘導出来れば、リアル【壁の中にいる】が起こるので、敵は窒息死しますから☆」
「……シエロ君は、えげつない事を平気で言うよね?」
「ん?」
あれ?僕、なんか変な事言ったかな?
「まぁいいや。その件は、後で俺から宰相様に報告しておくよ。対策法も一応報告しておくね?じゃあ、次は理事長先生のところの話を聞かせて?」
「うん、僕とシエロ君が理事長先生に聞きに行ったのは、単刀直入に【魔王の倒し方について】だったんだけどーーー」
サラッと流されちゃった。あれ~?僕、本当に変な事言ったのかな?
アトラは目の前が真っ白になった(物理)
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