二百二十三話目 報告会①
10月25日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
2019年4月22日 本文の一部を修正致しました。
結局、あのまま嫌な雰囲気の沈黙は続き、時間も時間だから。と、言う事で学園から僕と亜栖実さんは引き上げてきた。
そして、今は明けて次の日の朝。
いつもの玄関前のリビングには、クランのメンバー全員が揃い、朝から会議をしていた。
「集めてきた情報をまとめよう。先ずは俺から」
そう言って、裕翔さんは話始めた。わざわざ律儀に立ち上がって話すところが裕翔さんだよね。
「俺と誠治が昨日城へ行ってきたのは、皆も知っている事だから、その経緯は省くとして…。えっと、俺は、いや俺達は、捕まえた。って言う魔族に会ってきたんだ」
「ここからは僕が変わりましょう。宰相様にお話を通して頂き、宰相様と、兵士3人に同行して頂く形で地下牢へ降りました」
裕翔さんがグダグダになる前に、月島さんがサッと説明役を変わってくれたので、皆顔には出さなかったけど、正直ホッとした様子だった。
何故裕翔さんは人に説明するのが、あそこまで壊滅的に下手くそ何だろうか?
「さて、地下牢には計7人の魔族が捕まえられている。との事でしたが、結果を先に言ってしまうと、会う事は出来ませんでした」
「会えなかった。とは?」
アルベルトさんが月島さんに問いかける。
いつも被っている、大学とか卒業する時に被ってそうな、四角い鍔の帽子につけられた金色の房が、動くのに合わせてユラユラ揺れた。
すると、月島さんは少し答えに困った様子を見せた後に、
「えぇ。……捕らえた魔族は、皆そこで死んでいたんです」
と、やや言いにくそうに答えた。
「なっ!?」
「何で!??」
亜栖実さんとアトラが叫ぶ様に声をあげる。
特にアトラは、テーブルから身を乗り出しすぎて、今にも月島さん側に落ちそうな勢いだ。
犬の獣人特有のケモ耳や尻尾が驚きの余り、ピーンと張っている。
「僕にも何が何だか…。ただ、魔族達は全員鋭利な刃物で頸動脈を切られた事により、出血死した様です」
アトラを手で制し、大人しくソファーに座らせると、月島さんは自分の人差し指と中指を立て、自分の首を切る仕草をしながら、そう答える。
アトラは若干顔を青くしながら、自分の首を押さえた。
「王国側が秘密裏に殺した。って事は?」
今度は宇美彦が問いかける。
「その可能性は低そうです」
「根拠は?」
「宰相様が心底驚いていられた事と、傷痕に、微かながら闇の魔法の痕跡を見つけました。
恐らく、先の鋭利な切り口は闇刃の魔法でつけられたものだと推測出来ます。
つまり、犯人は闇と空間魔法の使い手。と言う事になりますかね?」
「そうなると、今この国で自力転移が出来るのは……あっ、僕とシエロ君、それに裕翔だけか…。そこに闇魔法もだと…。裕翔とシエロ君だけかな?」
「えっ!?じゃあシエロが犯人なのか!??」
急に割って入ってきたアトラの発言に、その場に居た皆がずっこける。
珍しくシリアスな雰囲気が続いていたのに台無しだ。
「何でそうなるんだよ!」
僕の声がアジトのリビングに響き渡ったのでした。まる。
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