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二百二十二話目 加護と呪い


10月24日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「しかし、封印されてたと思っていた邪神が、まさか影だけとは言え、世界をまたにかけて彷徨いていたとは…。驚いたな?」


 カイン先生はグッタリ。と言う感じで、ソファーに体を預けている。


 隣に座るアナスタシア先生も似た様な表情を浮かべてはいるが、背筋はピンと伸びたままだ。


「全くじゃ。本当に君達といると飽きないのぅ?」


 あっ、良く見たら、腰のところにクッションが敷いてある!あそこに寄り掛かってたのか~。


「あんまり乙女をジロジロ見るでない!」


「あっ、すいません」


 てへっ。バレた~。



「邪神は災いを振り撒く。何て言うけど、じゃあ俺達を呪ったのは魔王じゃなくて邪神だった。って事になるのか?」


 カイン先生が、亜栖実さんに問いかける。どうやら、本当に女神達からは何も聞かされていないらしい。


 同じ【勇者】なのに、大分扱いに違いがあるなぁ…?



「恐らくはそうだと思いますよ?実際、僕達は此方の世界へ飛ばされる時に呪いを受けましたから」


「なるほどのう…」


 亜栖実さんの答えを受けてそう呟くと、ふぅ。とため息を漏らしながら、アナスタシア先生はソファーに体を埋めた。


 腰の辺りに敷いていたクッションは今はお腹の上に抱えている。フワフワなアナスタシア先生の髪の毛が、クッションの下敷きになって奇妙なウェーブを作り出した。


 うん。何処から見ても、百数年生きてる人には見えないな。



「女神様でも、邪神の呪いは消せぬのじゃな…」


「えぇ。封印に持っていくのがやっと。と言う相手ですから、呪いの力も凄まじいらしいです。僕達も謝られました。呪いを解いてやれず、すまない。と…」


「そうか…」


 沈黙。


 部屋の空気がまた少し重くなった。



◇◆◇◆◇◆


《side:魔王》


 徹底的に滅ぼされたヒューマンの街を1人歩く。


 空には2つの月と、数えきれない程の星が夜空に散りばめられている。


 何故2つなのか…。


 彼の場所には三柱の女神がおられる。


 なのに、何故月は2つなのだろうか?


 ヒューマンに伝わる女神の物語は、いつも二柱の女神が、まるで双子であるかの様に描かれている。


 本当は三つ子で、更に言えば、あの方達の()にいる、もうお一方の話など、何処にもありはしなかった。


 三柱の妹達を守ろうとした優しい姉は闇に堕ち、闇を司る女神は己がせいだと姿を消した。


 本当の物語はこう終わる筈なのだ。


 なのに、いつもそこには二柱の物語と、勇者。と呼ばれた哀れな生け贄が活躍し、めでたしめでたしで終わる物ばかり。


 何と嘆かわしい事だろう。といつも考える。


 でもーー。


「もう少しです。もう少しだけ、ご辛抱下さい。ブロナー様。必ずや()()()()()()様の首を取り返し、貴女様の元へお連れ致しますから」


 月に向かい、僕は誓いを再確認する。


 かつて、彼女の下で過ごした懐かしい記憶を頭の中で辿りながら、僕はニッコリと月に向かって微笑んだ。



「ふふふ。もう少しもう少し」


 僕はそう呟きながら、月を眺める。そこにブロナー様がいらっしゃる。そう思うだけで幸せになれた。


「ふふふ。まさかあんな所にいらっしゃるなんて、思いもよりませんでした。あぁ。早く貴女様のご尊顔を拝みたいものです」


 体を無くされ、さぞお困りでしょう?


 必ずや、僕が貴女様をお助け致しますからね?



 ふふふふふふふふふ。



危ない人を書くのは難しいですね(;ω;`)


本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日もまた18時頃に更新致しますので、宜しくお願い致します

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