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二百二十一話目 魔王の話③


昨日はお休みさせて頂き、ありがとうございました!


さて、10月23日の更新です。

本日も宜しくお願い致します




「本当に【偶々】だったんですかね?」


「え?」


 ソファーから転げ落ちた僕は、這い上がりながら亜栖実さんに問いかける。


 キョトンとした顔を此方へ向けている亜栖実さんに向かい、


「わざわざ呼び出した。とか無いですかね?」


 と、続けて見ると、みるみる亜栖実さんの目が丸くなった。



「あ~。それで、【元の世界へ帰れる】か。なるほどな?」


「ふむ。それなら確かに辻褄が合うのう。元の世界へ帰る為に、あれこれ試行錯誤した。と、言う事なのじゃろうからの?」


 理事長先生も、あ~。とか声を出しながら頷いてくれる。


 その魔王が何処の世界から来たのか分からないけど、普通帰りたいんだったら色々やってみるだろうな~。とか思ったんだよね?


 でも…。


「でも、邪神が元の世界へ帰してくれる。とは思えないんですけどね?どうしてその魔王は、【これで帰れる!】何て断言出来たんでしょうか?」


「え?だって魔王は邪神を崇めていた筈だろ?そんな存在が願ったんだから、いくら邪神だって願いを叶えるもんなんじゃないのかい?」


「え?……あ」


 そこで始めて気がついた。


 カイン先生は知らないんだ。


 物語や伝記物何かでは、この世界の邪神と呼ばれる存在は、大昔に女神達が苦心の末に封印した。と、だけされていて、体と心が分離している事は伝えられていない。


 だから、心が影となり、体を求めてさ迷い歩いている事を、彼等は知らないんだ。



「え?知らないんですか?」


「何が?」


 亜栖実さんの問いかけに、カイン先生が更に首を傾げる。


「えっと、亜栖実さん。この世界の人達には、たぶん伝わっていないんだと思います。邪神と呼ばれる存在が今、影だけがさ迷い歩いている事…」


「なっ!?」


「え?そうなんですか?」


「邪神は女神様が封印して下さった筈では無いのか!?」


 口々に出した大きな声が、部屋の中に響き渡る。


 意外と鏡の中って声が響くんだね?



「はい。実は邪神の封印は完全なものでは無く、心が体と分離し、影となってあちらこちらの世界や街をさ迷っているんです」


「影は体を探しているらしいんですけど、体は女神様が厳重に封印しているので、見つける事が出来ないままウロウロしてるんですって」


 僕と亜栖実さんとで簡単にお話しすると、理事長先生は2人とも黙り込んでしまった。


 暫く双方共に沈黙が続き、僕が痺れをきらして話しかけようとした時、徐にアナスタシア先生が、


「……俄には信じがたい話ではあるが、それは女神様達御本人からお聞きした話なのであろう?」


 と、僕らを真っ直ぐ見据えながら口を開いた。


 僕らが誰から聞いたか。と言えば、言わずもがな女神達からには違いないので、揃って1つ頷く。


 すると、カイン先生は額に両手のひらをあてながら、


「うわ~。聞きたくなかった~」


 何て言いつつ、天を仰いだ。


 ですよね~?


 思わず僕は心の中で呟いたのでした。




本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します

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