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二百二十話目 魔王の話②


10月21日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



「邪神の影に触れて僕達は此処へ来たんだけど、その時の感じが魔王が吸い込まれた時の感じと似てるんだ」


 亜栖実さんが少し怖い顔をしながら、真っ直ぐを見つめてそう話してくれた。


 目線の先にいるのはカイン先生だったけど、亜栖実さんの目はカイン先生じゃない、別の誰かを映している様に見える。



「邪神。と言うと、初代勇者が倒し、女神様が総出で封印された。と言うアレだね?」


 カイン先生が問うと、亜栖実さんはそれに、こっくり頷く事で返事を返す。


 でもまさかここで邪神の名前を聞く事になるとは思ってもみなかったな…。思えば、僕がこの世界に拾ってもらったのも、邪神の影が通ったからな訳でーーー


「そう言えば、あの魔王もおかしな事を言っておったの?」


「あぁ~。そう言えば言ってたな?確か、【これで元の世界へ帰れる!】とかなんとか…」


「「えぇーー!??」」


 また、僕と亜栖実さんの声がハモった。




ーーー

ーー


 その後、もう少し理事長先生達からお話を聞いて、少しまとめてみた。



 魔王は急に空間に現れた穴に吸い込まれて消えた。


 魔王は吸い込まれる直前【これで元の世界へ帰れる!】と嬉しそうに叫んだ。


 魔王は………戦いを望んでいなかった。



ーーー

ーー


「では、魔王は理事長先生達と戦いたくない。と言ったんですか?」


 僕が訊ねる。すると、カイン先生は首を少し傾け、う~ん。と唸った後で、


「【戦いたくない】っつーか、【この戦いは無意味】だ。って言ってた気がするなぁ」


 と、答えてくれた。


「何せ100年近い、大昔の話じゃからの。でも、確かにカインに向かって、その様な事は言うておったぞ?」


「じゃあ、何でその人は魔王なんかやってたんでしょうか?」


「ん~。【ヒューマン種よりも魔族の文化の方が平和的で文化的】だ。っ的な事も言ってたかな?」


「何じゃカイン。よく覚えとるのう?」


「茶化すなよ。俺は前衛職だからな。お前より魔王と距離が近かったから、良く話を聞けたんだよ」


 カイン先生はアナスタシア先生に渋い顔をしながら、事情を説明してくれた。


 なるほど、確かに後衛よりは前衛の人の方が必然的に距離が近くなるもんね?



「まぁ、俺が聞いたのはそんなところだな。でも、魔王が消えたのが邪神のせいだったとはなぁ?」


「まさかなところで話が繋がるものなのじゃなぁ?」


 揃って首を傾げてる理事長先生達。どちらも仲良く右に傾いてるのが何だか面白い。


 面白い。んだけど、今は面白がってる場合じゃない。


「カイン先生」


「ん?」


「カイン先生とアナスタシア先生は、魔王が吸い込まれる時の余波で吹き飛ばされた。っておっしゃいましたよね?」


「ん?あぁ」


「その通りじゃが?」


「あ!」


 うんうん。と頷く理事長先生達を見ながら、亜栖実さんが声を上げる。


 亜栖実さんも気がついたみたい。


「そっか、理事長先生達がそんな体になっちゃったのは、魔王のせいじゃなくって、たまたま通りかかった邪神のせいだったんだ!?」


 亜栖実さんは、ソファーから勢い良く立ち上がりながら、そう言い放った。


 あんまり勢いが良すぎて、僕はソファーから転げ落ちた。



本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。

さて、明日の更新なのですが、誠に勝手ながらお休みさせて頂きますm(__)m

明後日、23日は通常通りに更新させて頂きますので、宜しくお願い致します。


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