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二百十九話目 魔王の話①


10月20日の更新です。

本日も宜しくお願い致します



 僕と亜栖実さんは、またいつぞやの鏡の中の部屋で、2人の理事長先生と対峙していた。



「「夜は俺の時間なんだ。でも、君達が会いに来たのはアナスタシアだろ?」」


 と、言いながら、門の所でバッタリお会いしたカイン先生が、鏡の中まで招待してくれたんだ。


 今、2人はそれぞれの体に分かれて、思い思いの体制でソファーに腰かけている。



「難儀な体ですまないね。して、今宵はどんなお話かな?」


 ゆったりとした姿勢で、深くソファーに腰掛けたアナスタシア先生が、僕達を促す。


 先生の周りでは、フワフワとティーカップが空中を舞い、同じ様にふわふわ浮かんでいるティーポットがお茶を注いでいた。


 先生の容姿も合間って、何とも魔女魔女しい。まぁ、先生は少女にも見えるくらい若々しいから、鼻も腰も曲がったお婆さんの方の魔女。って感じじゃないけどね?



「はい。実は、先代勇者様であるカイン先生とアナスタシア先生に、またお聞きしたい事が出来まして、不躾ながら夜分にお邪魔させて頂いた次第です」


「あ~。堅苦しい堅苦しいよシエロ君!別に俺達は王族でも貴族でも無いんだから、そんなガチガチの敬語で話さなくてもいいから」


「そうじゃぞ?半分幽霊みたいなもんなんじゃから、今更身分も何も私達にはないぞ?」


 僕の言葉を受けて、お2人から固い固い。と笑われてしまった。


 そんなに堅苦しかったかな?


「えっと…。じゃあ時間が惜しいので単刀直入に」


「うん、それでいいぜ?楽にな?」


「あはは、はい。えっと、カイン先生が元勇者様。って言うのは合ってますよね?」


「あぁ」


 カイン先生が肯定の意を返してくれる。隣のアナスタシア先生も、ウンウン。と頷いていた。


 続ける。


「では、前回魔王を倒したのはカイン先生。で、合ってますか?」


「ん~。合ってるっちゃ~合ってんのかな?」


 次の質問。とばかりに聞いてみたが、カイン先生から返ってきたのは、何とも歯切れの悪いものだった。


 どういう事だろう?


「倒した。とは違うって事ですか?」


 僕が首を傾げている間に、隣に座っていた亜栖実さんが先に聞いてくれていた。


 そう言えば、先々代の勇者様やその前の人達の話は絵本になってたりするけど、理事長先生のお話はあんまり聞かない様な…?



「俺達の時は、魔王が目の前で消えちまったんだよ」


「「え?」」


 思わず漏れた声に、亜栖実さんの声も重なった。



「消えた。って、どういう事ですか?」


 思わず前のめりになる。テーブルに体重をかけた事で、テーブルがキシッと音をたてた。


「そのまま、だよなぁ?」


「そうじゃな。急にぽっかり空間に穴が開いたと思ったら、その穴に吸い込まれよった。穴が開いた時の余波で私達も吹き飛ばされたので、最初は魔王が逃げたのかと思うた程じゃ」


「え?」


 僕の隣でビックリしつつも大人しく2人の話を聞いていた亜栖実さんが、不意に声をあげた。


「亜栖実さん?」


 声をかけると、亜栖実さんはゆっくりと僕の方へ顔を向け、そして、


「僕達が此方へ来た時と同じだ」


 と、呟いた。



本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日も18時頃に更新致しますので、宜しくお願い致します

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