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二百十七話目 暗躍の理由


10月18日の更新です。

今回、直接的な表現はありませんが、微グロ的な発言等ございます。

苦手な方は予めお気をつけ下さい。

本日も宜しくお願い致します


◇◆◇◆◇◆


《side:魔王》


 燃え落ちる城を見ながら、それと同じ色の真っ赤なワインをグラスの中で軽く回し、口に含む。


「ふっ。我ながら格好つけすぎたね」


 近くに控えていたデーモンに飲みかけのワインが入ったグラスを渡し、椅子から立ち上がる。


 僕が座っていたのは、野外には似つかわしくない程豪奢な玉座。


 家臣の誰かが城から持ち出したこの椅子は、この玉座には似つかわしくない()が座っていたそうだ。


 豚が椅子に座るものなのか?と、問いかけると、どうやらその豚はこの国で一番偉い豚の様だ。とその家臣は答えた。


 豚よりも僕が座る方が相応しい。とか何とか言っていたけど、僕としてはこの椅子、ちゃんと消毒してあるのか?って方が気になるよ。



「我が王よ。御知らせしたき事が御座います」


「ん?何だい?」


 ワイングラスを渡したデーモンが、徐に口を開く。


 何だ、置物じゃなかったのか。


 僕が返事を返すと、デーモンは恍惚の表情を浮かべながら片膝をついた。一々態度がウザいが、主を得たデーモンと言うのはこう言う生き物だと言うので、諦める。


「何だ?と聞いたが?」


「はっ!申し訳も御座いません。先程、ヒューマンの国に送った魔族からの反応が途絶えましたので、それを御伝えしたく…」


 少し威圧してやると、今度は身体を振るわせ始めた。だけど、それは恐怖ではなく、歓喜の震えだったりする。


 気持ち悪いのでさっさと止めると、デーモンは少し残念そうにしながら答えた。


 どうしよう。戦力くらいにはなるかと思って封印されてた悪魔侯爵(デーモンロード)を助けてやったけど、気持ち悪いから殺しちゃおうかな?


 何て考えながら、


「問題ない。どうせ奴等は捨て駒だ」


 と、吐き捨てる様に答えた。気持ち悪いからこいつと出来るだけ話したくなかった。ってだけなんだけど、それすらこの変態にはご褒美らしい。



「御意」


 と、返事をしながら、口の端が笑っていた。


 うわっ、本当に死んでくれないかな?



《シュンッ》


「陛下」


 と、そこへイチが転移魔法を使ってやって来た。


 正直、こいつと二人っきりでいたくなかったので、すんごくありがたい。


「やぁ、イチ。どうしたんだい?」


「ちっ」


 ん?うっわ!イチに僕がにこやかに話しかけたのがいけなかったのか、変態が唇を噛みしめながらイチを睨んでる!?しかも今、舌打ちしたよね?僕、仮にも魔王なんだけど?魔王の御前ですよ?


 うわ~。こいつ本気で嫌だ。一応強いからまだ殺さないけど、勇者と対決する前にこいつから殺す~。絶対殺す。今決めた~。


「はっ。チョセーン国の制圧が完了致しました」


「そっか、あれだけ大きな口を叩いてるから、もう少し骨のある国かと思ってたけど、1日もたなかったね?」


「陛下のお力をもってすれば容易い事かと」


「お世辞は良いよ。で?生存者と、此方の損害は?」


 イチは、また


「はっ」


 と、短い返事を僕に返すと、


「チョセーン国内にヒューマンの生存者は()()。此方の損害はありませんが、火を放つ際に火傷をしたオークが数名おります」


 と、つらつらと答えた。


「オークは不器用だからねぇ?ちゃんとお薬塗っておいてあげてよ」


「御意」


「さぁて、いよいよここから始めるよ?」


 僕は、未だ燃え盛る城を見ながら大きく手を広げると、そう宣誓した。


 フフフ。前と後ろ。僕らで挟んであげたよ?勇者様はどれくらい持ちこたえられるのかな?


 フフフ、フフフフフ。



何故王国を襲ってきた魔族や魔物がショボかったのか。の説明回でございます。

そして、本当の目的はウザいヤバいでお馴染み(誰が言ってるんだろ?)のチョセーン国を滅ぼす事でした。

チョセーン国について、詳しくは前作の閑話【ガッカリ勇者と残念な国】を御覧下さい。


本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日もこの時間に更新致しますので、また宜しくお願い致します

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