二百十三話目 お祖母様のお話し
10月14日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「ふむ。ではやはり、あの情報事態がデマ。と言う事なのでしょうか?」
「恐らくは。先程報告しました通り、可能な限りの範囲を手分けして探りましたが、魔族はおろか、魔物の姿すら目にする事は出来ませんでしたから…」
宰相様は、うんうん。と頷きながら、裕翔さんが話した事を羊皮紙にメモしている。チラッと覗き見ると、几帳面そうな文字で、事細かに僕達が感じ取った事柄が書き出されていた。
何か、そのまま小説とかになりそうだな…。
さて、謁見の間で報告したとは言え、宰相様にも王様にも然程驚いた様子はなかった。
そう言えば、謁見の間でもあまり驚いていなかった様に思う。他の大臣や重役達は驚いて声をあげていたから、もしかしたら2人は最初から知っていたのかもしれないね?
チラリとお祖母様の方を見ると、満面の笑顔を返されたので、たぶん黒幕はこの人だろう。
「しかし、通信機器を魔族に好き勝手に操られる事態になるとは思わなかったぞ。エリ様、どうにかなりませんか?」
「陛下、私に【様】づけ等不要ですわ?ただ、エリと御呼び捨て下さいませ?」
「む~。では義母さん、どう思いますか?」
何だか【様】付けより位が上がった気がするけど、この2人のこの掛け合いはいつもの事なので、僕も宰相様も気にしてはいない。僕なんかは、ここへ生まれましたの挨拶をしに来た時からこんな感じの掛け合いをしているところを見ているからね。今更驚かないよ!
でもまぁ、流石に他のメンバーはビックリしたみたいだね。分かる分かる。けど、この2人とこれからも付き合っていくなら、慣れた方が絶対良いと思う。なんちって。
「お2人共、その辺にしておいて下さい?まだ話は済んでいませんからね?」
宰相様が呆れた声で王様とお祖母様を交互に見た。
「分かっているさ。どうもこの掛け合いをしないと落ち着かなくてね?」
「落ち着いて下さいましな。いつまでもこのババはおりませんよ?」
「ですから、それは後で!先ずはエリザベート殿、貴女がお気づきになった事を、改めてお聞かせ願えませんか?」
いつまでも止めない王様とお祖母様を見かねた宰相様が、ゴホン!と1つ咳払いをしながら、そうお祖母様に促した。
本当にこの2人は放っておくとすぐこんな感じでイチャイチャ?し出すので、宰相様はご苦労が絶えないと思うよ。うん。
「ふふ。かしこまりました。では勇者様、貴方はどこまでご存知?」
「あっ、はい。四方の門に、魔物とそれを率いる魔族が現れ、暴れまわった。とだけは…」
裕翔さんがそう答えると、お祖母様は満足そうに1つ頷く。
そして、
「そうですね。それさえ分かっていれば大体大丈夫だとは思いますが、少し加えるならば、襲って来た中に魔族は西に1人、南に6人。たったこれだけだった様です。
実は東にも居た様ですが、ランスロットから逃がしてしまった。との報告を受けていますので、生け捕り…コホン。捕虜として捕まえられたのはここに本部に紛れ込んでいた1人を合わせた8人。と、言う事になりますわね」
と、補足してくれた。
「えっ!本部にも紛れ込んでいたんですか!?」
「えぇ、残念ながら。でもね?ーーー」
驚き過ぎて目を真ん丸にした裕翔さんを、祖父さんで見慣れているお祖母様は微笑みだけでいなし、更に話始めた。
ある意味自由奔放なお兄さんに振り回される弟が宰相様ですww
正室の子供なので、継承権は2位でしたが政権争いになるのが嫌だったので、さっさと放棄し文官として王様の下に入りました。
この国一番の苦労性です
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまたこの時間に更新致しますので、宜しくお願い致します