二十話目 初陣①
2月7日の更新です。
そして、本日分から新章がスタートになります!
また宜しくお願い致します
6年間。
これは、僕が聖ホルド学園を卒業してからこれ迄の年数だ。
絵本や小説でよくある冒険活劇なら、これだけの期間があれば魔王を討伐して、世界を救い、その国のお姫様と結婚したりするのかもしれないけど、現実はそう甘くは無くて、未だに魔王は各国へ進軍を続けている。
でも良く考えて欲しい。
勇者パーティー何て聞こえは良いけど、たったの10人対うん万人何て無理ゲー、そんな簡単に終わらせられる訳ないじゃん。
そう、そんなに簡単な事ではないのだ。
勇者パーティーがチート集団なら、勿論魔王軍の中にだってチート集団が居る。寧ろいない理由の方が見当たらない。
そして、学生時代に会った魔王軍関係者が、本当に有象無象の1人だと知ったのは、僕がブロナーからの修行を受けていた頃だった。
ーーーーーー
ーーーー
「ん。中々良く、なって来た。シエロ君、は、やっぱり、筋が良い」
「そうかな?まだ変身しながらだと魔法の制御が難しくて、初級の魔法を扱うのがやっとだよ?」
ブロナーから魔法の使い方を教わって1ヶ月。
何とかシャド…ブロナーの連れてきた、闇の精霊ちゃんの力を借りずに変身するところまではいったけど、そこからが難しかった。
今は、変身しながら別の魔法を使うと言う事を教わっていたけど、2つの魔法を同時に制御しようとすると、初級の魔法ですら難しくなってしまうのだ。
下手をすれば、2つ目の魔法のみならず、変身まで解けてしまう。
やっと昨日今日くらいから、変身の魔法の方だけは揺らがずに出来る様になった。まだそんな段階なのだ。
「そんな事、無い。この子の力を使わず、に、自力で変身するのだって、私が思って、いたよりも、早かった。自信、持って?」
ブロナーは、台所から中庭に通じている、ベランダ?バルコニー?みたいなちょっとした踊り場に、椅子とテーブルを置いて、僕に時折アドバイスをしてくれながら、読書をしていた。
何気に下界でのバカンスを満喫している。
「そうよ、そうよ!シエロは自分が思ってるより凄い子よ?その点は私が保証するわ!」
「んだんだ」
で、そんな彼女に便乗して、優雅にティータイムしているのが、僕の精霊達。
今ではすっかり人間サイズで過ごすのが当たり前となっていた2人は、楽しそうにお茶をすすり、僕が作ったお茶菓子片手に談笑するのが、最近のブームだそうだ。
「ちょっと~。風華に実里?ちゃんとシャドの事見ててよね?」
「大丈夫だぁ。シャドちゃんはちゃあんと良い子にしでるよぉ?なぁ?シャドちゃん?」
「なぁ~♪」
元クレイこと、土の精霊たる実里の膝の上で、彼女の手の中にすっぽり収まるサイズのシャドは、元ブリーズこと風の精霊たる風華からお茶菓子を貰って、ニコニコと笑っている。
更に今日は、濃紺色の、胸元に大きなリボンが付いたお気に入りのワンピースを着て、ご機嫌さんだ。
最初ブロナーに連れられてきた時は、ブロナーに似て無表情だったシャドも、彼女達の影響か、すっかり表情豊かになり、話す語録も増えた。
お姉さん達に囲まれて幸せなのだろう。とはブロナーの言葉だけれど、皆が幸せならそれで良い。
僕が、そんな昼下がりのアジトの光景に、すっかり気を抜いてほのぼのしていた。そんな時。
「シエロ君、一緒に来てくれ!!」
「え?」
僕に、初めての出動要請がやってきた。
シャドにはお母さんがいっぱいいますねww
風華「誰がお母さんよ!!」
実里「んだんだ!!」
本日も、此処までお読み頂きありがとうございました。
明日もまた同じ時間に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します