二百十一話目 謁見の間にて
10月12日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
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《side:シエロ》
細かな刺繍が繊細な模様を作り出している、豪華な赤い絨毯。
部屋中に敷き詰められたそれは、両サイドに黄色、と言うか、金色?的な縁取りがされていて、絨毯の豪華さを更に引き立たせている。
なるほど、この金の縁取りには、兵士達がズラリと並び立ってこそ引き立つのか。昨日の影響か、がっちりと武装した兵士達は等間隔に並び、壁際でいつでも動ける様に待機していた。
さて、ここは謁見の間。戻ってすぐにここへ僕達は呼ばれたんだけど、王様が【頭をあげても良いよ?】って言うまで、僕達は悲しいかな。絨毯を見続けなくてはいけないので、こんな実況しか出来なくてゴメンね?
まぁ、顔さえあげず、なるべくキョロキョロしなければ絨毯を見続けなくたって良いんだけど、お裁縫と料理が趣味な僕としては、王宮の絨毯の柄は興味深いものなんだから仕方ない。
ってな事で、僕は裕翔さんが王様へこの度あった出来事を説明している間、絨毯の柄を覚えるくらい目で追っていきたいと思います☆ハイそこっ!現実逃避とか言わなーい!
「ふむ。ではそなた達は異変に気がつき、すぐに戻ろうとしたが、転移門はおろか、転移の魔法すら使えなかった。そう申すのだな?」
「はっ!仰せの通りです。ですので、少しでも戻ろうと王都へ我々と軍と進ませながら、転移出来る場所を探していた次第であります」
「で、あるか…。よし、宮廷魔導師達は原因を探れ!同行した軍師は軍隊長に事の詳細を報告し、まとめあげよ。勇者達は余の部屋へ。宰相は余の部屋へ勇者達を連れて参れ。それでは、これにて解散!」
「「「「「はっ!」」」」」
あっ。どうやら終わったっぽい。
最後にチラッと盗み見た王様の姿は、儀式や祭礼の時の様な毛布みたいなビラビラしたフカフカのマント姿では無く、軍服に長めの茶色のマント。って感じの戦時の出で立ちをしていた。
そして、マントをバサッと翻すと、王様は謁見の間から颯爽と立ち去っていった。
《バタン》
王の言葉に短く返事を返した配下の人達は、王が部屋から出て、扉が閉まるまで頭を垂れていたが、扉が閉まると一斉に動き出す。
「では、勇者殿達は私についてきて下さい。勿論、シエロもな?」
「分かってますよ。流石にここで逃げる訳ないじゃありませんか」
裕翔さんに誘われても王宮へ来なかった僕だけれど、流石にこれで逃げたら不敬罪で死刑になるかもしれない。ってのはいくら僕でも分かるよ。
僕の返事に満足げな笑顔を浮かべた宰相様の顔に、僕はソッと気づかれない様にため息を吐いた。
う~。行きたくねぇ~。
折角の謁見の間なのに絨毯しか説明出来なかったorz||||
次があればちゃんとやります!!
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