二百八話目 反撃②
10月9日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
俺達を助けに来てくれた英雄様は、
「ガーーーーッハッハッハッハッハッ温い温い!!」
と、豪快に笑いしながら、敵を次から次へバッサバッサと斬り捨ていた。
抜けた腰も治り、前線に復帰したものの、正直俺達の近辺まで魔物が抜けて来る事は無く、俺達はただただアーサー様が1人で無双する様を見学している。
「ガーーッハッハッ!」
『ぴぎぃ!?』
あっ、片手で一匹投げ飛ばした!うわっ!?ただ投げたんじゃなくて、ゴブリンにゴブリンをあてて倒したのか!?
倒れた二匹のゴブリンは、ピクリとも動かなくなった。
あっ、今度は三匹まとめてバカでっかい剣で一突きかよ。んで、そのまま十匹以上巻き込んだ上で
「ぬぅううーん!!」
《ぎゃあー!?》
キマッタ!竜巻剣舞!!足を軸にしてグルグル回り、遠心力で周囲の敵全てを葬り去る技だ。まさかこの目で見られるなんて、感動しかない。
『ぎゃっ!』
『ぐぎゃ!』
《ドチャドチャドチャ》
あっ。空を舞ってたゴブリン達が落ちてきた。
う~ん。それにしても、何だかゴブリン達が可哀想になってきたな…。
まるで、さっきまでの俺達を見ているみた、い…?
んん?何か忘れている様な……?
「あっ!ランパートさん」
「どうなさいました?」
ちゃっかりランパートさんーー【様】呼びしたら嫌がられたので【さん】呼びで定着したーーの隣を陣取っていた俺は、
「たぶんここだけじゃなくて、他の門もこんな感じになってると思うんッスよ。でも他の門に連絡を取ろうにも、応答が無くて…」
と、すっかり忘れていた国の危機について、まくし立てた。周りの先輩達も【あっ!】って顔をしているから、たぶん忘れてたのは俺だけじゃ無い筈だ。
「あぁ、それなら問題ありませんよ?私達と同じく、仲間がそれぞれの門まで向かいましたから」
「えっ?本当ですか!?」
「えぇ、ですからどうぞ、安心してアーサー無双の様子を御覧ください♪」
ランパートさんはまたニッコリ笑った。
◇◆◇◆◇◆
《side:東門の門番B》
俺は血の海の中で息絶える筈だった。
朝、日ノ出と共にいつも門の前に現れる鳥に混じって、薄汚れた様な、焦げ茶色の奇妙な小型の鳥を見つけた事が、災厄の始まりだった様に思う。
その鳥は、人懐っこく俺達の体や頭にとまり、始めはスリスリと体を擦り付けていた。
最初は可愛い鳥がいるな?何て笑っていた同僚達も、異変に気が付く頃には体の至るところから血を流し、徐々に体の自由を奪われていった。
可愛いと思っていた小鳥は、悪魔だったのだ。
その小さな体で人の肉を啄み、喰らう。しかも啄まれた際に、痛みを全く感じないところがまた嫌らしい。
そうして、その数が増え、啄まれて血にまみれる箇所が増える度に俺達は次々と倒れていき、それでも啄む事を止めない鳥の攻撃に死を覚悟したんだ。
しかし
『はい、よいしょー!』
《バササササー》
『はい、もういっちょー!』
《バサバサササー》
『なにぃ?あんたらもしつこいね~?あんまりしつこいと、嫌われるえ~?』
そう言いながら、あの奇妙な鳥を、自身の頭の葉っぱや短い手足を使い、蹴散らしていく巨大な白い物体が暴れていた。
霞む目を凝らして良く見ると、巨大なラディッシュの化け物にも見える。一瞬新手か!?と体を強ばらせたのだが…。
「あぁ、動かないで下さいね?今ちゃっちゃっと治しますから」
「え?」
ヒョコッと目の前に現れた昔の恩師の姿に、体の強ばりは消える。消えたが、今度は頭がパニックを起こした。
「え?ランスロット先生?え?え?何でここにいらっしゃるんですか?」
「はいはい。動かない動かない」
「え?えぇ?」
「うわっ!?何だあのでっかいラディッシュは!??」
周りの同僚達もあの白い物体に気が付き大混乱を起こしていたが、
『どっせぇーーい!』
《ビチュビジュジジジジジ!》
混乱しきった俺の頭では処理しきれなくなったので、早々に諦め、先生の治療を受けることにした。
爺無双回でしたww
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまた同じ時間に更新致しますので、宜しくお願い致します