二百六話目 魔女は微笑む
10月7日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
2019年4月21日 誤字修正致しました
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《side:魔女?》
ふふふ。見つけた♪
どうやら相手はバレていない。と、思い込んでいる様だけれど、この国で好き勝手な真似はさせませんよ?
誰も見ていないだろうから。何て、時折悪い顔で笑っているけれど、何故貴方が出来る事を、他の人が出来ないと思っているのかしら?
ふふふ。滑稽ね?
貴方の企みは、既に陛下のお耳にも入れてあるのに。
さぁ、おいたをした悪い子には、お仕置きをしてあげなくてはいけませんとね?
うふふふふ♪
私は、
「うふふ。やっと見つけましたわ♪」
と、わざとらしく微笑みながら、驚き目を丸くする魔族の青年の額に、長年愛用している杖を押し付けた。
さぁ、ここからが本当の戦いですよ?覚悟は宜しいかしら?
◇◆◇◆◇◆
《side:門番A》
皆何処か諦めてはいたが、それは自分の命に関してだけ。
武器はボロボロだけれど、せめて一発だけでも攻撃を当ててから死んでやる!
たぶん、皆もそう思っていたんだと思う。
だって、皆似た様な顔をしていたから。勿論、俺も含めて。
「いざ!」
『ギャギャギャ』
睨みあっていたその時、先輩がデーモンの隙を見て斬りかかった。
しかし、先輩の鋭く重い攻撃は、未だ汚い声をあげながら笑っているデーモンには通用せず、あっさりと横に軽く逃げる事で避けられてしまう。しかも振り下ろされた剣をそのまま片手で掴み、デーモンは勝ち誇った様に笑っている。
万事休すか!?と思われたがしかし、避けられるのは予想済みだ!とばかりに先輩もニヤリと笑い返すと、剣に集中していた魔力を解き放った。
先輩の剣は魔法武器になっていて、魔力をこめれば勝手に?魔法が飛び出す仕掛けになっているらしい。
らしい。なのは、先輩がその機能を使っているのを見るのが初めてだから。なのだが…。
さて、その剣は眩い輝きを放つと、火魔法の初級編。ファイアボールがデーモンと接している面から、一気に10発以上飛び出した!
『ギャッ!?』
飛び出した火の玉は過たず、全弾デーモンへと吸い込まれていく。
たまらずデーモンは悲鳴をあげ、先輩の剣を、先輩ごと投げ飛ばした。
「先輩!!」
投げ飛ばされて地面に、それも受け身も取れずに叩きつけられてしまった先輩へと、慌てて駆け寄る。
俺は、他の上司や同僚達が、先輩と俺を守るようにデーモンから庇ってくれた事に感謝しながら、恐る恐る先輩の容態を確認した。
先輩の横に落ちていた彼愛用の魔法剣は、強かに打ちつけられた事から根元からボッキリと折れ、至近距離でファイアボールの余波を受けた先輩の体は、無事なところが無いくらい火傷と裂傷でボロボロだった。
「先輩、無茶しますねぇ?」
「へへ、あ~あ。俺の給料6回分の剣がボロボロだ。ちくしょ、イテテ」
俺が呆れた声を出せば、先輩はヘラっと笑いながらも悪態をついた。
俺は兵隊全員に支給されているポーションを、先輩の体をゆっくりと起こしながら口に含ませる。
支給されているポーションみたいな安物では到底治せる傷では無いが、少しくらいは痛みがマシになるだろう。
「あっ、イテテ。んだよお前、ちったぁ優しくしろよ」
「鎧着たゴリマッチョに、これ以上どう優しく扱えって言うんッスか?先輩」
「ははは。ちげぇねぇ…」
先輩は額に脂汗をかきながらもヘラヘラと笑っている。
今は何とか減らず口も叩けてはいるが、本当なら一刻も早く救護所か病院に連れていかなければならない様な傷を、先輩は全身に負っているのだ。
しかし、残念ながら門番の詰め所には擦り傷や切り傷、軽い刀傷を治す様な低ランクのポーションはあるが、先輩程の重篤な傷を治すくらいのポーションは無い。
と言うか、そんな奇跡を起こせる様なポーションは国庫にだって数えるくらいしか在庫はないだろう。
一体、どうしたら…。
「うわ~。これは酷い怪我ですね?モシモシ、意識は御座いますね?」
「え?」
「ん?」
急に俺の真横で聞こえた声に驚いてそちらを見ると、そこには太陽みたいな奴が居た。
「もう、安心ですよ?」
そして、そいつはキラキラした笑顔を浮かべながら、ニッコリと俺と先輩に笑いかけた。
今日からふざけ…ゴホン反撃パートではっちゃけ(死語)られるかと思ったのですが、まだシリアスさんが居残り残業してくれました。くそうww
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明日もまた同じ時間に更新致しますので、宜しくお願い致します