二百三話目 はめられた王国①
10月4日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
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《side:モーント王国宰相・フェザント・ドス・モーント》
兄の配下として、宰相と言う地位を拝命されてから早10数年。
その間何度も魔族の攻撃を受け、それでも何とかやってきた私達であったが、今回の襲撃は私達にとって、今まで以上の混乱と混沌を運んでやってきた。
「宰相様!南門からの連絡で、|敵の襲撃有り。直ちに応援を寄越されたし《 テキノシュウゲキアリ。タダチニオウエンヲヨコサレタシ 》との事であります!!」
「宰相様!東門前からも同じ内容の連絡が入っております!!」
「分かった!第2師団3班から7班を南に!東門へは同じく第2師団8班から12班までを向かわせなさい。それでも足りない様なら、第3師団から随時派遣する様に!」
「「はっ!!」」
手早く指示を出すと、兵士達は短い返事と共に、それぞれの持ち場へと散っていく。
チリチリと空気が震え、皆、口には出さないが、不安と緊張感が募っていくのを感じていた。
チッ!
思わず舌打ちしてしまう。
国は今、魔族の侵攻によって、てんやわんやな状態になっていた。
今のところ、何とか魔族の侵攻をそれぞれの門の前までで抑えてはいるが、今朝勇者達を送り出してから、ずっとこんな状態だ。
向こうに余力があるならば戻ってきて欲しい。と、どうにか連絡を取ろうとしたが、未だ砦はおろか、近隣の街や村ですら連絡がつかないでいる。
勇者達は第1師団全250人と、陛下や高貴なる方々をお守りする分を除く近衛兵士の精鋭達50人の計300人を連れて出かけて行った。数は少ないとは言え、国の精鋭達が魔族相手にあっさりと全滅するとは考えられないし、考えたくもない。
しかし、今の今まで連絡が帰ってこない等と言う事は今まで無かった事でもある為、もしや…。と、ついつい不吉な考えが頭を掠めるのも事実だ。
どうか、無事であってくれれば良いのだが…。
「フェザント、状況はどうなっておるか?」
「はっ!」
凛とした声に反応し、思考の海から抜け出せば、我が王が執務室へと足早に入って来るところであった。
直ぐ様その場に居た部下共々跪く。普通なら、そのまま挨拶等の口上が始まるが…。
「よい。その様な事をしている時間が惜しい。して、フェザント。状況はどうなっておるか?」
王はそう言って、我々の動きを制した。
王に感謝の意を伝えつつ、私はこの場を代表して王の質問に答える。他の者達は陛下にお答えする権利を持たぬ為、壁際に並び、周囲を警戒する任に着く。
「では恐れながら申し上げます」
「うむ」
「魔族共は四方の門からの突破を謀っている様です。駐屯している第4師団に加え、第2師団も向かわせて対処しましたが、未だ予断を許さぬ状況になっております」
私は街の地図を広げ、兵と魔族を象った駒を並べながら答えた。
四方の門の前に魔族を、門の内側には兵の駒をとそれぞれ並べてある。
そう言えば、始めに連絡を受けた北門はどうなったであろうか?
陛下に断り、確認してみねば…。
「勇者達はどうし…。いや、確か今朝早くに魔族領へ出かけて行ったのだったな。そちらはどうなっている?」
「はっ!仰せの通りに御座います。ですが、現場に到着した。との連絡を最後に、彼等との通信は途絶えております。何度か試みましたが、未だ繋がらず…」
「何と…。勇者達は無事であろうか?」
「それも未だ…」
「で、あるか…」
王の顔が曇る。が、それも無理は無い。
我が国、ひいては我等が世界の命運を、異なる世界の少年達に、半ば無理矢理託したのだ。
王は、本来ならば自分が果たすべき!と何度か声をあげられた事もあったが、それを悉く却下されてきた。却下してきたのは、この国の年ばかりとった頭でっかちの年寄り連中。
仕事も外交も出来ぬくせに、小言ばかり上手くて嫌味な奴等。宰相でもあるが、同時に私は王の弟でもある為、小さな頃からその様な場面に良く遭遇していたのだ。
出来る事なら殴ってやりたいくらい腹の立つこの連中を引きずり出す算段は無いものか。と、私は王に言葉を返しながら探っていた。
珍しくシリアス展開です。が、やっぱり苦手なので所々おかしいかもしれますん(;´д`)〈モウシワケモアリマセン
本日も此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまた18時頃に更新致しますので宜しくお願い致します