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二百二話目 疑問


10月3日の更新です。

本日も宜しくお願い致します


2019年4月21日 誤字修正致しました



 僕達が兵士達に護られながらアジトを出発してから、2時間とちょっと。


 僕達は王国側と魔王領の境界線付近までやって来ていた。


 到着するのが流石に速すぎるだろ!?って声が聞こえてきそうだけど、そりゃあ転移門使ったからね?としか答えられない訳で…。


 馬車を使ったのだって街の中だけだし、本当は護衛だっていらなかったんだけど、心配性な王様が裕翔さんを心配して寄越してくれたのだから。って事で、無下に返すことはしなかっただけなのです。


 お蔭でえっっっらい目立っちゃったけどね?かかった2時間もこの馬車での移動時間だし…。


 いくら夜明け前に使者を寄越したって、支度に時間をかけなかったって言ったって、あんなに護衛の兵士を集めて、王族が乗るような馬車を用意させたら絶対目立つって!


 おまけに出発する時に、先頭にいた兵士が出発の合図だとばかりにラッパ吹いたからね?


 明け方の、やっと東から太陽が登って来た様な時間に、よくあれだけ大音量でラッパを吹き鳴らせるものだよ。何て、流石の裕翔さんも亜栖実さんも呆れていたっけ。勿論、僕もね?



 とまぁ、出掛けにこんな様な一騒動はあったけど、皆揃って無事に目的地に着きましたよ。


 到着するなり、裕翔さんと月島さんは例の如く本部に呼び出されて作戦会議をしに行ってしまったので、僕は宇美彦と亜栖実さんと共に、魔族の動きを探っていたところなのです。


 因みにこの場所は、6年前に襲われたあの境界の街から少し魔王領側に寄った地点。


 カベルネの陣地。と言うか、研究所を占領した関係で、少しだけど魔族側の領地を減らす事に成功していたのだ。


 で、瓦礫の山だらけの廃墟となった研究所の脇に、簡易的な砦を築いた王国軍側の兵士達は、ここであれからずっと魔王軍の動きを注視していたらしい。


 らしい。なのは、さっきここに駐在していた兵士さんから聞いたばかりの話をしていたから。


 出来れば他の人にももう少し話を聞いておきたかったんだけど、物見櫓から辛うじて見える山の裾野辺りで煙が上がっているのが見える!と報告がきたので、先にそちらを調べる事になったんだ。




 さて、今まで起きた事をおさらいしながら此処まで歩いてきた訳だけど、岩場だらけのゴツゴツしたこの場所には、正直火の気のヒの字も感じなられなかった。


 僕の周りもそうだ。


 このままではらちがあかないので、一緒に周囲の警戒をしてくれている風華に聞いてみる事にした。風から臭いや気配を感じ取ってもらおうと思ったんだ。



「風華、どう?」


「ん~。煙が上がっていた。って言うのはこっちの方角であってるのよね?」


 風華が魔王領の奥の方、一際高い山の方を指差しながら、首を傾げた。


 方向的には間違っていない筈なので、1つ頷く事で肯定の意を示すと、風華は更に首を傾げながら、


「それなら多少なりとも臭いがする筈なんだけど…。うん、やっぱり何の臭いもしないわ?焚き火が焦げた臭いも、近づいて来るって言う魔王軍の気配もーー」



《「亜栖実だよ~。シエロ君、そっちはどう?」》



 風華が何か言いかけていたけど、亜栖実さんから通信が入ってしまったので、僕は手でごめん。ちょっと待ってね?と合図をおくりながら、通信先の亜栖実さんに答える。


「シエロです。此方は異常なし。ところで亜栖実さん。本当に煙なんか上がったんですかね?風華に聞いても、そんな臭いはしない。って言われたんですが…」


《「えっ?何それ?どういうこと?」》


「アスミ、風華よ?何かを燃やした臭いも、近づいて来るって言う魔王軍の…って言うか王国軍以外の人型の生き物の臭いも全く感じないの。軍隊が近づいて来ているなら、気配も臭いもここまで完璧に消し去る事何て、不可能でしょ?」


《「確かにそれはおかしいね?実はさ、ナルくんも変な事言ってて…」》


 珍しく風華が通信中に割り込んで来たと思ったら、亜栖実さんにそんな事を問い質し始めた。


 成る程、さっき言いかけたのはこの事だったんだね?


 と、納得しつつ、風華に通信機を取られちゃったので、2人が話している間に、僕は他の精霊達にも確認してみることにした。


「実里、咲良、シャド、君達から見てどう思う?」


「進軍。っつーぐらいなら、地面がゆっちて(揺れていて)もおがしぐは無いんだけっじょ、それさも感じねぇね?」


「え?」


「マスター。感覚をそこら辺に生えている草花達と共有してみたんですが、半径10㎞先まで、何の生き物の気配も感じられませんでした。魔王軍はおろか、魔物の気配すら感じられないのは、やっぱりおかしすぎませんか?」


「えぇ!?」


『やみぞくしぇいもちがおおいはじゅの、まじょくのかんじがまるでしないの!ちかくにはだれもいにゃいよ?』


「マジで?」


 まさかいっぺんに話し出すとも思ってなかったけど、それ以上に3人から返ってきたのは信じがたい結果だった。


 一体これはどういう事なんだろうか?




本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。

明日もまた同じ時間に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します

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