二百話目 亜栖実と鳴神と○●
9月23日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
先に1人で夕食を食べてもらいながら、亜栖実さんにその蜥蜴についての簡単な説明をした。って言うか、僕も簡単な事しか知らないんだけどね?
まぁ、さっき僕がコローレから聞いた話を、もう一度説明してもらう。すると亜栖実さんは、
「そっか…。僕は結局女神様に頼っちゃったんだね?あ~~!!うんっ、よし!後でお礼の連絡をしなくちゃね?って事で、先ずは君の名前だよ!」
と、言い出した。
蜥蜴くんは亜栖実さんの膝の上で頭を撫でてもらってご機嫌だ。
『なぁえ~♪』
くっ!舌ったらず可愛すぎか!?
さて、ご機嫌な蜥蜴くんの頭を撫で続けながら、亜栖実さんはウンウン悩んでいる。
「んー。君は雷なんだから、トール?違うな。んーー。あっ!ゼウス?いや、浮気性になられたら困るな。んー?何が良いかな~?」
あんまり悩んでいたので、
「日本なら鳴神じゃないですか~?」
って洗い物をしながら軽く言ったら、
「それだ!」
って。
「決定ー!!」
「えっ?嘘でしょ?」
「可愛いから決定ー!」
『けてぃー!』
黄色い蜥蜴くんまで賛成に回り、何故かそのままあっさり決まってしまったのでした。
気に入ったかい?何て亜栖実さんは話しかけてるけど、蜥蜴くんは意味分かってないではしゃいでる様な気がするんですけど…。
ーーーー
ーー
と、まぁ、こんな感じで、さっきの鳴神だからナル!って辺りに戻るんだけど、僕としてはあっさり決まりすぎて嘘でしょ?って感じだったよ。感じだったんだけど…。
「なぁるぅ~~~」
「あぁしゅぅみぃ~♪」
うん。本人達が気に入ってるんだから、まぁいっか。いつの間にかナルくんイヤリングから出てるし。抱き合ってるし。羨ましいし。
あ~あ。……何か2人を見てたらスー君に会いたくなっちゃったよぉ。スー君は元気にやってるかしら?
……ちょっと寂しくなっちゃったから、後でシャドといちゃいちゃして慰めてもらおう。そしたらその後で、ナルカミくんにスー君の事も聞いてみよう。そうしよう。
◇◆◇◆◇◆
《side:???》
暗闇の中に、ポツンと灯りが1つ灯っている。
何とも頼りなさげなその蝋燭の灯りは、ユラユラとカンテラの中で不規則に揺れながら、フードの男こと魔王の姿をぼんやりと照らし出していた。
石畳の様なその場所に椅子の類いは無く、男はその場で直に地面に座っている様に見える。空を見ても星1つ見えない事から、そこがどこか建物の中だ。と、言う事だけは辛うじて分かった。
そして魔王はフードを目深に被ったまま、そんな暗闇の中で、頼りない蝋燭の灯りのみを便りに、国語辞典並みに分厚い書類の束を読んでいた。
が、そのスピードが速すぎる上に、1枚1枚読み終わったものから自身の後方へ投げ捨てて行くものだから、カベルネのスペア。もといイチが、魔王の後ろで必死に書類の回収に回っている。
1枚も地面に落ちる前に回収していくと言うスゴワザを褒めるべきか否か。と、魔王が悩んでいたかどうかは分からないが、そうこうしている間に手元にあった書類は全て、イチの手元へと移動していた。
「ふ~ん。そっか…。整った。か」
最後の書類を投げ捨てた魔王は、イチが書類をキャッチする様をみながら、ポツリと呟いた。
「はっ。仰せの通り、全ての大臣が此方へ向けて全軍を率い、集結しつつあります」
魔王の言葉を受け、イチはたった今拾い終わった書類を灯りの隣に戻しながら、魔王にそう告げた。
すると、魔王はそのフードで隠れた顔から口だけを覗かせ、ニヤリと笑い、そしてーー。
「じゃあ始めようか?世界征服。ってやつを♪」
と、ちょっと今からコンビニ行ってくる。的な軽い口調で、そんな恐ろしい事を言い放ったのだった。
遂に魔王が動くのか!?
といったところで、今章はおしまいとなります。
今章も、此処までお読み頂きましてありがとうございました。
さて、次章ですが、お陰様で200話突破致しましたので、突破記念!として、閑話を2本挟み、新しい章の開始とさせて頂きたいと思います。
終幕まで、後少し、もう少しだけお付き合い頂ければ幸いです。
お豚汁子