百九十六話目 解決した問題?
9月19日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
「今日から宜しくね?ナル!」
《『なる?なに?』》
「ん?貴方の名前は今日から鳴神でしょ?だから、ナル。だよ?嫌だったかな?」
《『なる?なる!ん!なるいやじゃない。きにいった!』》
「そっか。じゃあ改めて、これから宜しくね?ナル♪
《『なるわかる!こちらこそ。っていうんだよね?』》
「あはは。そうそう!よく知ってるねぇ?」
《『えっへん!』》
亜栖実さんの耳元で揺れる、黄色い宝石のイヤリングの中から、くすぐったい程の、キャラキャラした可愛い声が聞こえてくる。
言葉を覚えたての子供の様なそれは、コローレがとある人達からもらってきた、雷の化身が声を出しているものだ。
《『あしゅみ~?』》
「どうしたの?ナル」
《『えへへぇ~?よんでみただけだぉ~♪』》
「え~?」
ふふふ、楽しそうだな。
さて、妖精とも精霊とも違う不思議な存在のその子は、更に不思議な事に亜栖実さんに最初から良くなついた。
本体は雷そのものなので、彼?に特定の形は無い様だが、鳴神は蜥蜴の様な形を好んでいるらしく、初めて会った時からその姿をしていた。
だからか、僕が雷の魔石の周りに這う様な形の蜥蜴を、銀を加工して造ったイヤリングの中がお気に入りの様子で、外に用事がある時以外は、その中で過ごす事にしたらしい。
一瞬デッカイ独り言みたいに聞こえて焦る。とは宇美彦や他のメンバー達の言葉だけど、まぁ2人が楽しいならそれで良いじゃない?と、僕は思っている。
…………え?装備品に妖精を宿らせる。って話はどうなったのかって?
そうそう、それがさぁ…。
ーーーーーー
ーーーー
時は遡り、僕の祖父母の屋敷の、あの誰も言葉を発せず、応接間が静まり返っていた時の事だ。
黙り込む亜栖実さんと裕翔さんの姿を見ながら、僕は考えていた。
そもそも妖精が宿る。と、言う事は、長い年月をかけるか、女神達が加護を与えた者への贈り物として。と言うのが定説らしい。
じゃあ女神に頼めば良いんじゃないか?とも考えたんだけど、亜栖実さんは【今までも何かとお世話になっているのだから、自分のわがままくらいで手を煩わせたくないの!】と、この話が出たばかりの頃にハッキリキッパリ言い放っていたので、この手は使えなくなった。
まぁ、あの人達の事だから、今も僕らの様子を見てるだろうけどね?
とはいえ今はこの状況をどうやって打破するか。だよなぁ…。
下手に口を開いたところで、またすぐに沈黙されたらたまらないし、かと言って僕にそこまでのコミュ力は無い。
う~ん。本当にどうしよう。
《ドスドスドスドス》
そんな風に静まり返った中で1人悩んでいると、廊下から大きな足音が聞こえてきた。
ドスドスドスドス。と言う地響きにも似た足音は、どんどんと此方へ近づいてくる。
そうして近づいてきた足音は、この部屋の前辺りで止まると、
《ドンドン》
と、今度は扉を叩く音に変わった。
次いで、
《「おーい。エリザベート!シエロと今代の勇者様、魔導師殿が来ていると聞いたのじゃがのー!」》
と、馬っっっ鹿デカイ声が廊下から聞こえてきた。
わぁい!爺さんキターー\(^▽^)/ーー!!
爺、降臨!www
本日も、此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
明日もまた同じ時間に更新させて頂きますので、宜しくお願い致します