プロローグ②
本日2本目の更新です!
ん?誰か今呼んだ?
誰かに呼ばれた様な気がして辺りを見回してみたけど、結局それらしき人物を見つけられず、【僕】は視線を前方へと戻した。
戻した視線の先には、活気溢れるモーネの街の象徴とも言える、笑顔の商人達とその客達の姿。
更には、多種多様な。良く言えば賑やか。
悪く言えば雑多な雰囲気を感じさせる、小さい屋台から大きい店舗から、はたまた材料や材質、仕様まで違う大小の建物群が、通りの端までズラリと並んでいた。
しかし、王都は相変わらず人も建物も多いよな~。
いつもの街に慣れてしまうと、このくらいの規模の人混みにも酔ってしまいそうだ。
ふふ、前の世界の人混みなんて、これの比じゃないくらいだったのになぁ。
慣れって怖い。
あっ、ども。
僕の名前は木戸宙太。
前の世界…地球と呼ばれる星の、日本と言う国で生まれ育った僕はある日、暴走車の事故に巻き込まれて死にました。
その時、この世界を司る三柱の女神達に拾われて、傷付いた魂を癒す為に新しい体を貰い、助けてもらったんです。
まぁ、ラノベやゲームでよく見かける【異世界転生】ってやつですかね?
何で事故に巻き込まれた僕をわざわざ拾ってくれたかと言えば、事故を起こした相手がこっちの世界で生まれた邪神の影に触れたからって事らしく…。
あっ、邪神って言うのはこの世界の、謂わばバグ的な存在らしくて、何とか身体だけは女神達が頑張って封印したものの、邪神の魂…と言うか【影】だけは女神達の力をすり抜けて、今も色んな場所に出没しては身体を探し回っているんだそうです。
で、その邪神の影に触れると、例え正常な人間でも気が触れた様な言動をする様になり、自分の欲望を抑えられなくなるらしく…。
で、僕を車で轢いた相手は、腹立たしい事に僕を女性だと勘違いしてナンパしてきた奴で、僕(男)にフラれた事が相当ショックだったらしいんです。
何でも、悔しさ紛れに仲間達と酒盛りした帰りに影に触っただか何だかしておかしくなって、で、乗ってた車ーーいけすかない感じの真っ赤なスポーツカーだったな…ーーごと僕に突撃してきたんだそうですよ?
そんな事情を女神達から聞かされた時は、流石の僕も唖然と言うか呆然としたと言うか…。
流石に凹みましたよね?
まぁ、生まれ変わった頃は記憶もあやふやだし、凹んだりもしたけれど、今は女神達から助けてもらったこの命。
剣と魔法の世界で、面白おかしく生きてます。
本日は、もう1本更新させて頂きます!