百八十七話目 おはようさん
9月10日の更新です。
本日も宜しくお願い致します
2019年4月19日 誤字修正致しました
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《side:裕翔》
うふふ。と、まるで世間話の続きでも話すかの様な、そんな軽い感じに見えた。
更にもう一度、ふふ。と、含み笑いをしたエリザベートさんは、剣を恭しく胸の位置まで掲げ持つ。その顔は、微笑みをたたえリラックスしている様に見える。
えっと、今度は何をする気なのだろう?
俺は、開いた口を閉じる事も忘れて、エリザベートさんの様子を伺っていた。
《フワッ》
まず感じたのは、ほんの少しだけ冷気を含んだ風。
次いで感じたのは、目視出来る程の膨大な魔力。
濃厚。そんな言葉が似合いすぎる程圧縮した魔力を、器用にも剣へ巻き付けながら、エリザベートさんは何事かの呪文らしき言葉をブツブツと紡いでいる。
凄い。これが、元とは言え、室長の実力か…。
ぶっちゃけ、俺には何がどうなっているのかまるで分からないけど、この方が何か凄い事をポンッとやってのける人物なのだ。と、言う事くらいなら分かる。
と言うか、正直、俺にはエリザベートさんの体が青白く光っているのと、剣が繭玉みたいになった。くらいしか分からないよ。 ……後で亜栖実にでも聞いてみよう。
「うふふ♪」
あ。剣の周りを覆っていた魔力の繭みたいなのが、1度脈打つようにドクンと動いたと思ったら、今度は繭がシュルシュルほどけて剣に吸い込まれていった。
見ている間にも、ほどけた繭が吸い込まれいき、それと同時にエリザベートさんの体から発せられていた光が、スーっと落ち着いていく。
ここまで5分もかかっていないんだけど、これってやっぱり早いんだよね?
う~ん。分からん!
「あっ…」
「え?」
思わず声が漏れました。と言った感じのシエロ君の声に、思わず反応してしまう。
俺には分からない何かを、彼は感じているらしい。
亜栖実じゃなくて、シエロ君に聞こうかな?
何て、ぼんやり考えていたら、
《『ふわぁ~あ。おはようさん』》
と、何とも気の抜けた声が聞こえてきた。
どうやら剣の方から聞こえてきたみたいだけど…。
《『しかしきみ、無茶苦茶やるなぁ?周りの声は聞こえとったけど、ちぃとも起きられんかった。はっ!これが世に言う金縛りってやつか!?』》
ん?
「んもぅ。貴方も相変わらず騒がしい方ですわねぇ?そんなだから王様が寝かしつけろ!何てご命令を下されるのですよ?」
《『やかましわぃ!だからって、こっちが必死に解呪しよおもてやっても解けへんような呪いかける奴があるかいな!?ほんまにえげつない事してからに…』》
んん?かっ、関西弁?
どことなくエセ関西弁っぽいけど、大人の男の人の声で剣が喋っている様に聞こえる。
剣は、ブワァーっと今までの愚痴を捲し立てると、わざわざ口で、ゼーゼー。と息が上がってます。みたいなアピールまでし始めた。
げ、芸が細かいな…。
《『ちゅーかや。きみぃ!わいの真ん前におる、皮鎧のきみやきみぃ!』》
「えっ?俺?」
呆気にとられていると、急に話しかけられた。
慌てて返すと、
《『お前以外誰がいんねん!』》
と、怒られてしまった。うぅ。怒られた~。
関西弁っぽいのはマンドラゴラ君でも使ったのですが、彼はのんびりさんなので、ブワー、捲し立てる系の関西弁っぽいのが恋しくなりましたww
本日も此処までお読み頂き、ありがとうございました。
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